オンライン店舗だけでなくリアルな実店舗も運営しているAmazon.comは、仮想的な試着サービスの技術開発に取り組んでいる。例えば、以前紹介した特許は、オンライン通販で実際の商品が手元にない状態でも、よりリアルな仮想試着を可能とする技術を提案していた。
今回は、Amazon.com傘下のAmazon Technologiesが考案した、実店舗向けの仮想試着技術を取り上げる。Amazon Technologiesがこの技術を米国特許商標庁(USPTO)へ出願したところ、米国時間1月2日に「BLENDED REALITY SYSTEMS AND METHODS」(特許番号「US 9,858,719 B2」)として登録された。出願日は2015年3月30日、公開日は2016年10月6日(公開特許番号「US 2016/0292917 A1」)。
この特許は、衣類などの販売店で使う姿見のような鏡において、前に立った来店者の服を仮想的に切り替えて表示する技術を説明したもの。Amazon Technologiesは混合現実(Blended Reality:BR)システムと表記しているが、仮想現実(VR)や拡張現実(AR)の発展形である複合現実(Mixed Reality:MR)技術と本質的な相違はないだろう。
システムの構造は、ハーフミラーの背後にディスプレイを設け、正面から見ると鏡に反射した光とディスプレイに表示された画像が重なる仕組み。なお、正面に立った人に姿をカメラで撮影し、人に位置に合わせて衣服などの画像を生成できるようにもなっている。
来店者は鏡の前に立つだけで、実際に着替えることなく何度も繰り返し仮想試着することが可能となり、利便性が向上する。店舗としても、来店者が気軽に試着すると、販売促進が期待できる。
なお、こうした仮想試着システムのアイデアは以前から存在するためか、この特許は第1請求項(クレーム)で来店者に光を当てる機構や各種動作モードを規定し、権利化を図ったようだ。
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