「このたび、新しい警察官が赴任することになった。名前はAlexaだ」。英国の警察による試みが順調に進めば、今後はこのような紹介が行われることになるかもない。
イングランドのランカシャー地方を管区とする警察が、Amazonの「Alexa」対応スマートスピーカー「Echo」を使って、犯罪に関する情報を地域の住民に伝えたり、地域に指名手配中の容疑者が逃走していることを警告したりする仕組みを検討している。さらにこの仕組みで最も興味深いのは、被害者や目撃者が犯罪を警察に直接通報する機能についても、導入が検討されている点だ。
「音声認識技術や音声を使った技術の利用によって警察のコールセンターに対する需要を減らし、地域の人々が警察に電話をかけなくても必要な情報を得られるようになれば素晴らしいことだ」と、ランカシャー警察でイノベーション責任者を務めるRob Flanagan氏は述べた。TechSpotの記事によると、この発言があったのは、英国の警察学校College of Policingで行われたカンファレンスでのことだった。
警察がAlexaの機能を犯罪対策に活用することに目を向けたのは、これが初めてではない。
米アーカンソー州ベントンビルの警察は、Victor Collinsさんが死亡した事件で、被害者の友人であるJames Batesさんを容疑者として特定した。Collinsさんは2015年11月、Bates容疑者宅の大型浴槽で死亡しているところを発見された。
警察はこの事件で、容疑者宅にあったEchoの音声記録の提出をAmazonに求めた。Echoは周囲の音に常に把握しており、誰かが「Alexa」と話しかける直前の音も含めた音声をクラウドに送っているためだ。Amazonは当初、米国憲法修正第1条を根拠にこの要請を拒んだが、Bates容疑者が何も隠すものはないと述べたことを受け、音声記録を警察に提出した。
だが、今ある証拠ではCollinsさんが死に至った原因を1つに絞り込めないとの意見を検察が表明したことを受け、裁判所は2017年11月に同容疑者への殺人罪による起訴を取り下げている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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