ミクシィは12月27日、子会社のフンザが運営するチケット売買サイト「チケットキャンプ」を、2018年5月末をもって閉鎖すると発表した。また、フンザ代表取締役の笹森良氏と同社取締役の酒徳千尋氏は、経営責任を明確にするため12月27日付で辞任。さらに、ミクシィ代表取締役 兼 フンザ社取締役の森田仁基氏は、月額報酬の100%を6カ月間自主返納するという。
チケットキャンプは、コンサートや演劇、スポーツなどの公演チケットをユーザー同士で売買できるサービスで、2013年から運営している。2015年3月にはミクシィが同社を約115億円で買収しており、一時はテレビCMを放映するなど積極的にプロモーションをしていた。
チケットキャンプでは、サイト上の表示について、商標法違反および不正競争防止法違反の容疑で捜査当局による強制捜査を受けたことを12月7日に公表。それにともない新規出品、新規会員登録および、新規購入申し込みなどの機能を一時停止していた。その後、事実確認と原因の究明のため、外部の弁護士を交えた調査委員会を設置し、調査を進めてきた。12月25日に調査委員会からその結果を記載した報告書を受領したという。
それによると、チケットキャンプ内の表示について、疑念を生じさせるものであったことは否定できないと指摘を受けたと説明。また、コンサートチケットなどの高額転売が問題視され、転売目的の購入行為について刑事罰まで科されるに至っている現状や、チケットの二次流通に関する法案整備の動きがあることなどから、単なる法令の順守にとどまらず、社会的な公正や倫理観・道徳観が求められており、サービスの存続についても慎重に検討すべきという指摘を受け、閉鎖を決めたとしている。
サービスの提供終了の決定にともない、連結決算においてフンザに係るのれんの償却および固定資産の減損損失により77億2900万円の特別損失が発生するという。これにより、同社の2018年3月期の連結業績予想における親会社株主に帰属する当期純利益を402億円に修正した。現時点では、売上、営業利益、経常利益に対する影響は軽微と判断したことから、修正は行わない予定としている。
同社では「フンザが捜査を受けたこと、およびチケットキャンプ事業を終了させることにより、サービスをご利用いただいているみなさま、および関係各位には多大なるご迷惑をおかけすることとなり、かかる事態となったことにつきまして、当社におきましても厳粛に受け止めております。また、チケットの二次流通を取り巻く環境が変化していく中で、一次流通事業者のみなさまと協力してチケット流通の課題に取り組み、より安全なサービスとしてご提供することができなかったことにつきましても、あらためましてお詫び申し上げます。今後、当社における子会社ガバナンスの強化、リスク管理体制の見直しを進めるとともに、当社グループ内におけるコンプライアンス遵守を徹底してまいります」とコメントしている。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」