niconico(く)の延期や画質問題を謝罪--改善は「半年待ってほしい」

 「遅れてしまったことは本当に申し訳ない。(く)は失敗できないサービス。機能の安定性を考えた上で、遅らせる決断をした」――ドワンゴは11月28日、ニコファーレにて動画配信サービス「niconico」の新バージョン「niconico(く)」(読み:クレッシェンド)の発表会を開催。そのなかでドワンゴ代表取締役会長CTOの川上量生氏はこのように述べた。新バージョンの概要や新機能を披露したが、中継していたニコニコ生放送でのコメントは厳しい意見が飛び交っていた。

発表会で説明を行った、ドワンゴ代表取締役会長CTOの川上量生氏(中央)。同取締役の夏野剛氏(右)と栗田穣崇氏も登壇した
発表会で説明を行った、ドワンゴ代表取締役会長CTOの川上量生氏(中央)。同取締役の夏野剛氏(右)と栗田穣崇氏も登壇した
サービス開始までのスケジュール
サービス開始までのスケジュール

 歴代16番目のバージョンとなるniconico(く)は、4月の発表時に10月からの提供開始を予告していたが、この発表会において、サービス開始ならびに全ユーザーに機能を開放するのは2018年2月28日と延期になることを告知。2017年12月3日13時から体験生放送第2弾、2018年1月から公式生放送を開始、1月28日に改めて全機能に関する発表会の開催を予定している。

新インターフェースとなる「nicocas」(ニコキャス)
新インターフェースとなる「nicocas」(ニコキャス)

 niconico(く)では「21.2世紀から来た未来のストリーミングサービス」をコンセプトに、双方向サービスを担う「Akashic」(アカシック)と、引用や合成を担う「DMC」という2つの自社開発したストリームサーバを活用。このシステムを使いニコニコ動画、ニコニコ生放送に続く、3つ目のインターフェースとなる「nicocas」(ニコキャス)を提供する。動画、生放送、双方向、映像合成が一体となったインターフェースで、ユーザー生放送をベースに、双方向性と協同性を高める新機能を搭載しているという。またスマートフォンではログイン不要で視聴が可能となり、手軽に生放送を楽しむことができるとしている。

生放送映像をリアルタイム分割する「8パズル」
生放送映像をリアルタイム分割する「8パズル」

 双方向機能として、配信者と視聴者が一斉にミニゲームを遊ぶ「ニコ割ゲーム」や、ニコニコ生放送のアンケート機能を進化させ、クイズや問題集を作成し共有することができる「ニコニコQ」、動画関連商品に加え、演出機能を起動ボタンとしてはり付けることができる「ニコニコ新市場」、生放送映像をリアルタイム分割し、視聴者の協力で完成を目指す「8パズル」を用意する。

生放送配信中にスマートフォンのカメラへ切り替えることができる「マルチカメラ」
生放送配信中にスマートフォンのカメラへ切り替えることができる「マルチカメラ」

 リアルタイム映像合成演出機能も搭載。ボタンひとつで独自のオープニングやエンディングを流すことができる機能や、投稿された動画や配信されている生放送を、自分の生放送番組にリアルタイム合成によって引用することができる機能、生放送配信中に固定カメラからスマートフォンのカメラに切り替えて放送ができる「マルチカメラ」、休憩時に後述する「ニコニ広告」のユーザー投稿動画を流す機能も実装する。

 リニューアルする「クルーズ」
リニューアルする「クルーズ」

 ほかにもニコニコポイントを使ってユーザーの投稿動画を宣伝することができるニコニ広告が、クリエイター奨励プログラムに対応。ユーザー生放送をランダムに巡回するニコ生クルーズのリニューアルや、ラジオ風ニコニコ動画専門チャンネル「Nsen」の復活、動画や配信者の発掘貢献者に付与する「バッジ」など、作品に触れる機会を増やし、新たなコンテンツの発掘やクリエーター支援につなげる機能や施策も用意する。

 これらとは別に、ニコニコ動画に投稿された動画から切り出した静止画、動画のコメントを組み合わせて「まとめ記事」をユーザーが作成できるキュレーションサービス「ニコニコまとめ」を11月28日から開始した。また「ニコニコチャンネル」に、初のアニメ見放題チャンネルとなる「dアニメストア ニコニコ支店」を12月1日から開設。Apple TVでniconicoが視聴できるアプリ「niconico TV」も、11月28日にリリースした。

「根が深い問題があるため、時間がかかっている」

 川上氏は新バージョンについて、「niconicoで獲得できていないのは若年層のスマホマーケット。これまでのアプリは機能で劣っているが、新バージョンではスマホアプリの操作性向上や、機能の充実によって楽しみ方も増え、ユーザーに受け入れられる」と狙いを語る。また、niconicoの特徴であるコメントについて触れ「支持されているのは双方性。その部分を強化するのは、niconicoとしての良さを伸ばすため」ともコメントした。

 一方で、中継していたニコニコ生放送における視聴者からのコメント、発表会で来場していたユーザーからの質疑応答では厳しい意見が飛び交っていた。

今後の予定
今後の予定

 近年ではさまざまな動画ストリーミングサイトが立ち上がり、高機能や多様なサービスを展開している一方で、niconicoが指摘されている問題として、画質の低さや映像がスムーズに見られないこと、また有料会員であるプレミアム会員のメリットの薄さがあり、川上氏も、発表された内容が生放送の配信者向け新機能中心に見えてしまったことが背景にあると語る。

 川上氏は、基本性能面で他サービスから現状劣っていることを認識しており、発表会時点で完全な改善に至っていないこと、新バージョンの提供が遅れてしまったことを謝罪。改善については順次進めている事例を挙げつつ「画質と(回線の)重さは根が深い問題があるため、時間がかかっている。そこは本当に申し訳ないと思っている。プレミアム会員であっても、重い状態や画質が他の動画サービスに比べてよくない現状があるのは、大変な問題だと認識している。真剣に取り組んで改善は進めており、いずれ必ず解決する。あと半年待ってほしい。一気にすべてとはいかずとも、順番に解決していく」と語った。

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