医療分野に進出し始めたハリウッドの映画制作技術

Abrar Al-Heeti (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2017年12月01日 07時30分

 ハリウッドに普及しているテクノロジが、理学療法の分野にも浸透し始めている。

 映画「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズでキャラクター「ゴラム」の映像化を実現したのはモーションキャプチャ技術だったが、この技術は現在、理学療法に活用されつつあり、トレーナーの指導を受けながらの運動を、自宅のリビングにいながらにして可能にしている。

 デジタルヘルス企業Reflexion Healthが提供する仕組みはこうだ。テレビをつけて、同社のプログラムを起動する。同社が開発した「VERA」というシステムに2台のカメラが接続されており、ユーザーはその正面に立つ。一方のカメラがユーザーの動きを録画して臨床医がそれを確認し、もう一方のカメラはユーザーの関節の動きを追跡する。

 映画であれば、追跡した情報はコンピュータグラフィックスで生成されたキャラクターのアニメーションに使われることになるが、このプログラムではひとつひとつの運動をユーザーがどのようにこなしたかを診断する。

 Reflexionのシステムでは、青と黒のトレーニングウェアを身に着けたアバターが正しい運動フォームを実演してみせ、患者はテレビを見ながらそれをまねる。このアバターの名前が「VERA」(Virtual Exercise Rehabilitation Assistantの頭字語)なのである。

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画面左にトレーナーのアバターが立ち、正しいフォームを示す。右にはユーザー自身の動きが映し出される。
提供:Reflexion Health

 VERAは、例えば、椅子の背につかまって右脚を横に上げるなどの動きを指示する。この運動で、ユーザーが左脚を前に上げていることが検出されると、正しく動かすよう指示してくる。

 「臨床医が『この5種類の運動を1日に2セットやるように』と書いた紙を患者に渡したところで、その指示が守られるとは限らない」と、Reflexionの最高技術責任者(CTO)であるSudipto Sur氏は指摘する。一方、運動するよう促し、さらに実際に手伝ってくれるシステムがあれば、患者はもっとしっかり運動するようになるはずだ、と言う。

 VERAは、私たちの日常生活にすでに入り込んでいる技術が、いよいよ医療の世界にも進出するようになった、その最新の一例にすぎない。米国では医師の多くが、病院から呼び出しを受けるときに、いまだに1990年代製のポケットベルを使っている現状を考えれば、これは特筆すべき変化だ。

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