医療分野に進出し始めたハリウッドの映画制作技術 - (page 3)

Abrar Al-Heeti (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2017年12月01日 07時30分

VRの可能性

 トラッキング技術に期待されるのは、単にユーザーがテレビに映る運動をまねした後、自分がどれだけ効果的に運動できたかをプログラムに診断してもらうことだけにとどまらない。

 カリフォルニア大学マーセド校のコンピュータサイエンス教授であるMarcelo Kallmann氏は、こうした新しい種類のプログラムを設計する最良の方法を研究してきたが、同氏はVRヘッドセットにも注目している。VRでは、バーチャルなトレーナーが所定の運動を患者に実践して見せ、患者は3Dのデジタル環境に没入している感覚を得る。

 単にテレビを使うより、VRヘッドセットを装着した方が効果的な理由があるのだろうか。

 「結論を言うと、どちらが効果的なのかは、その目標による」とKallmann氏は言う。誰かをトレーニングして、運動や活動の一環として明確な成果を達成させることが目標であるなら、奥行き感覚が増す3Dの方が効果的かもしれない。しかし、バーチャルなトレーナーが指導する運動を誰かに見てもらうことが目標なら、VRと3Dにそれほどメリットはない、と同氏は話す。

 Kallmann氏のチームがカリフォルニア大学デービス校のメディカルセンターと共に開発とテストを行ったシステムでは、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を使用しなかった。その代わりに、通常のPCに画像が表示され、Microsoftの「Kinect」がモーションキャプチャに使用された。しかし、だからといって、今後VRが使用される可能性が全くないわけではない。

 米国理学療法協会(APTA)のプラクティススペシャリストであるMatt Elrod氏は、この種の技術が役に立つ可能性もあるが、人々がそれらに過度に依存してしまうことが心配だ、と話す。

 「肩に問題を抱えている患者に、『このテクノロジを利用してみてください』と言うだけでは不十分だ。必要なのは、綿密な評価と検査、テストを通して、どこがうまく機能していないのかを正確に特定することである」(Elrod氏)

 APTAのプラクティススペシャリストのHadiya Green Guerrero氏は、テクノロジが近い将来、本物の理学療法士に取って代わることはないだろう、と述べている。

 「われわれが理学療法士としてやることをテクノロジが補強できるのは間違いない。テクノロジを利用する人は、それが理学療法士に代わるものではないと分かっている」(同氏)

 その一方で、ヘルス分野でのテクノロジの利用はさらに普及するだろう。医学生を訓練したり、助産師が出産について学ぶのを支援したりするために、バーチャルシミュレーションが使われている。Kallmann氏によると、理学療法士はかなり前から、任天堂の「Wii Fit」のような消費者向けゲームを患者と一緒に使用しており、VERAのようなシステムがそうしたテクノロジを新たな次元に押し上げているという。Kallmann氏は、こうした応用例がこれから増えると予想している。

 「テクノロジの見地から言うと、それを実現させるのはそんなに難しいことではない。そのための技術は既に存在するのだから」(Kallmann氏)

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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