モーションキャプチャの技術は、テクノロジのメインストリームで普及したことを受けて、医療の世界に進出しつつある。ハリウッドの映画製作では、俳優の動きをカメラとコンピュータで追跡するという形で何十年も前から使われてきた。ビデオゲームのメーカーも、例えばUbisoftのタイトル「Just Dance」などで、スコアのカウントにこの技術を使っている。
ここ1年ほどのテクノロジ業界では、仮想現実(VR)や拡張現実(AR)との関連でモーショントラッキング技術に大きな進歩が見られた。VRではコンピュータで生成した環境にユーザー自身が入り込むかのような体験ができ、ARではデジタル生成した画像が現実世界に重ねて配置される。例えば、FacebookとMicrosoftのVRヘッドセット「Oculus」と「Hololens」は、仮想世界で動いたり遊んだりする人の動きを追跡する技術を利用している。
こうしたトラッキング技術が、今では遠隔医療に応用され始めており、病院が遠くて通院できない患者でも、音声、動画、データの通信を通じて医師と対話できるようになってきた。手術を受けて間もない患者であれば、車での通院は難しいかもしれないし、通える範囲に医療の専門家がいない可能性もある。そんなとき遠隔医療があれば、「Doctor on Demand」などのアプリを通じて、遠隔地でもケアを受けられる。
非営利団体である米国遠隔医療協会によると、遠隔医療自体は、ようやく軌道に乗ったところで、米国の全病院のうち半数以上が何らかの形で利用しているという。その要因はいくつもあるが、高速インターネット接続とスマートフォンを手軽に使えるようになった点が何といっても大きい。
今のところ、VERAや、Polhemusの無線モーショントラッカー「G4」といった製品が、遠隔医療にとって次のステップとなる可能性が高そうだ。モーションキャプチャ技術を使用して、リアルタイムで理学療法を提供すれば、治療効果がもっと早く現れる可能性もある。
GartnerのアナリストMark Gilbert氏は、「患者がより積極的に治療に取り組むようになった。いつでもどこでも、好きなときに治療に臨めるからだ」と述べている。
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