中国デジタルビジネス最前線

常に新しい“ワクワク”を--ユニクロが中国で仕掛ける次世代型デジタルサイネージ

近衛元博(D2C China代表)2017年11月13日 10時00分

 こんにちは、D2C Chinaの近衛です。中国のデジタルビジネスの最前線をお届けする本コラム。これまで中国で人気となっている「デリバリーアプリ」や「ライブ動画」など話題のサービスについて紹介してきましたが、3回目の今回は少し趣向を変え、中国国内のユニクロで導入が進む次世代型デジタルサイネージについてご紹介します。

 中国におけるデジタルサイネージは、新聞、屋外広告をしのぎ、テレビ、インターネットに次ぐ「第3のメディア」に成長すると期待されているメディアです。屋内設置の縦型サイネージはもちろんのこと、屋外型の大型LEDビジョンが主要道路や高層ビルなどありとあらゆる場所に設置されているのが特徴的ではないでしょうか。

 中国でデジタルサイネージが屋外広告リソースとして急速に発展してきた背景には、北京オリンピックや上海万博の開催に合わせて、各地で伝統的な大広告看板の一部が撤去されたことも後押ししています。これが、中国におけるデジタルサイネージのダイナミックな進化を遂げているターニングポイントと言って過言ではないでしょう。

 また、地下鉄、バス、タクシー、ショッピングモール、ホテルのロビー、スーパーマーケット、映画館、オフィスなどには、情報発信のツールとしてデジタルサイネージが数多く配置され、特に、北京、上海、広州の三大都市の交通機関や駅構内のデジタルサイネージは重要な広告メディアとなっています。

 中国におけるデジタルサイネージは、情報発信するメディアというだけでなく、ユーザーもデジタルサイネージから情報取得することが一般的になっています。街中のあらゆる場所にあるデジタルサイネージに「WeChat」の公式アカウントQRコードが掲載されており、このQRコードを読み取って詳細情報を入手できる仕組みです。さまざまな企業がSNSとサイネージをマーケティングに活用していることが伺えます。

 サイネージにおけるユーザーのインタラクションが一般的であることから、タッチパネルやKinectなども導入が進められています。都市部では、マクドナルドを始めとするファーストフードの注文にタッチサイネージが標準的に導入され、ユニクロではKinectをデジタルサイネージに活用することで、ユーザーのアテンションを改善する施策を図っています。

 デジタルサイネージの普及で課題となるのは「導入障壁の低下」「インタラクティブ性」「表現の多様性」ですが、社会的背景やデジタルメディアの躍進によってそれらが実現され、圧倒的なスピードで進化しているのが中国と言えます。

2020年には日本の店舗数を超える?急成長する中国のユニクロ

 成長が見込める海外事業を強化し続けているユニクロは、2002年9月、上海に1号店を出店したのを皮切りに現在、中国全土に566店舗(2017年9月末時点)を構えています。人気なのは店舗だけではありません。近年、Eコマースに関しても、T-mall(天猫、アリババグループが運営するEC)が開催する最大のセールイベント「11.11」の売上と人気度が注目されています。

 2009年にT-mallに出店したユニクロですが、2012年の同サイト内でのセールイベント売上ランキングでは75位でしたが、翌年の2013年は6位、2014年は5位、2015年は2位と順位を伸ばし、2016年のセールイベントでは、夜中の0時にセールがスタートし、午前中までにはすべての商品が売り切れるほどの人気ぶりで、ナイキやアディダス、中国の大手携帯メーカーを抑えて、堂々の1位を獲得しました。

店舗の顧客体験を変える新たなチャレンジ

 さて、話を店舗の話題に戻しましょう。店舗の顧客体験を重視するユニクロでは、顧客に“より快適な”買い物環境を提供するため、2016年11月から“インタラクティブコミュニケーションが可能な次世代型デジタルサイネージ”を導入しています。

 ちなみに、創業以来、デジタルを活用した店舗での顧客体験を提供するストアエンゲージメント事業に注力してきた弊社では、今回のプロジェクトにおいてソフトウエア開発から、管理システム、クリエーティブ、運用などを含む専属チームを立ち上げ、ユニクロをサポートしています。


次世代型デジタルサイネージは店舗入口の最も目立つ場所に設置されている。

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