中国デジタルビジネス最前線

ザリガニが飛ぶように売れる!--加熱する中国ライブ配信アプリの今

近衛元博(D2C China代表)2017年08月15日 08時00分

 こんにちは。D2C Chinaの近衛です。中国のデジタルビジネスの最前線をお届けする本コラム。二回目の今回は「ライブ配信アプリ」について紹介します。

最大1000万人が同時視聴するECの一大イベント

 2017年6月18日、中国ではとあるECのセールイベントが開催されました。この「618セールイベント」は、中国の二大ECモールの一つ「京東商城(JD.COM:中国国内最大の家電ショッピングサイト)」の創立記念日にちなんで始まったイベントですが、京東商城以外にも淘宝(タオバオ)、蘑菇街(モグジェ:女性向けファッションEC)、唯品会(VIPS:越境EC)など大手ECも参戦し、一大イベントとして盛り上がりを見せていました。ちなみに、中国で最も有名なECセールイベントはアリババが始めた「11.11」と言われています。

 そんな大手ECサイトをまたいだ大イベントで、人気を集めていたのが「直播」と呼ばれるライブ配信コンテンツです。


大手ECサイトのTOPページでもライブ配信のコーナーが掲載されている(出典:淘宝アプリ)

 直播では、いわゆるYouTuberに似た、「KOL(Key Opinion Leader)」と呼ばれる配信者が各ECモールに出店し、ライブ配信で商品を紹介します。視聴者は動画を見ながらその場で商品を購入できるという仕組みです。

 実際の使用感や製品の特長を動画で説明するほか、質問にもその場で回答してくれることから、画像や説明文が並ぶだけの商品紹介ページよりもより信頼性が高く、ECライブ配信により各社売上を伸ばしています。また、配信者の中からは、数多くの人気配信者が生まれており、かなりの影響力を持つようになっています。


配信の様子(出典:淘宝アプリ)

 2017年の「618セールイベント」では、普段各ECモールに出店している配信主のライブ配信以外に、ECサイトのオフィシャルライブ配信がメインコンテンツとして大いに盛り上がりました。

 京東商城では、6月17日の午後12時から12時間連続でライブ配信され、総勢30名ほどのタレントや有名人が参加しました。各コーナーにタレントや有名人を招いて、司会者とトークをしながら商品を紹介する様子は、さながらテレビショッピングの特番を見ているような雰囲気です。12時間のライブ配信中、視聴者は一時1032万人まで達しました。

ザリガニが飛ぶように売れる!

 中でも目玉は、3種類のザリガニを紹介販売するコーナーです。日本ではなじみがありませんが、実は中国ではザリガニを旬の食材として、楽しむ習慣があります。夏の時期の風物詩として、今の時期大人気なんです。特に南の地域では、ビールと一緒に夏の醍醐味として楽しまれています。

 ザリガニがとにかく売れる売れる!中国で一番美しいと言われている女性タレントAngelababyも参加し、17日23時までの購入回数は3430パック、4023パック、8429パックと右肩上がりにぐんぐん伸び、18日の0時過ぎには2万8000パックまで到達しました。こうしたイベントでは、0時台の集客・売上が最も伸びるといわれていますが、京東商城は18日0時から5分間で1万5000パック、合計45万匹のザリガニを販売したと発表しました。


17日23時のデータ(出典:微众圏)

18日0時のデータ(出典:微众圏)

 ちなみに、京東商城での「618セールイベント」期間中(6月1日~18日)の販売額は1199億元(約2兆円)でした。

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