D2C Chinaで代表取締役を務めている近衛元博と申します。2011年から中国・上海を拠点に、D2Cの100%子会社であるD2C Chinaで、デジタルマーケティング事業を展開しています。
私が在籍している6年で、中国のデジタルを取り巻く環境は劇的な変化を遂げ、もはや、日本を凌駕するまでになりました。「Leapfrog」(直訳すれば蛙跳び)という言葉があります。日本などの先進国が歩んできたステップを、インフラ不足ゆえに、すっ飛ばしてその先を実現するという意味ですが、まさに中国はこの状況が起きています。
日本では、中国のデジタルビジネスについて取り上げられる機会がさほど多くないため、私のコラムでは、読者の方にも役立つような中国のデジタルビジネス最前線をお伝えしたいと思います。
第一回目では、ここ1、2年で急成長を遂げた中国のデリバリーアプリ事情について紹介します。日本では出前館や、2016年9月に登場したUberEATSなどが有名ですが、中国では今、日本以上にデリバリーアプリの利用が活発です。
2016年のデリバリーアプリの総取引金額は1761.5億元(日本円で約2兆8700億円)で、現在も右肩上がりで成長しています。2017年4月の調査では、1~3月までの取引金額だけで843.2億元(日本円で約1兆3700億円)に達しており、利用人数は1.94億人まで伸びています。
中国のデリバリーアプリで最も有名なのは「餓了么?(アーラマ)」というアプリで、直訳すると「お腹減った?」となります。利用率TOP3では、アーラマが73.4%、美団外売が66.9%、百度外売が63.8%という順になっており、激しいシェア争いを繰り広げています。
アーラマは、競合サービスに先駆けいち早く2009年に立ち上げたサービスで、その便利さから2017年現在、加盟する飲食店は創設当初の17店舗から100万店舗まで拡大し、1.3億人のユーザーを抱えるまでに成長しました。
彼らは、自社の配達員が各飲食店の商品を配達する“蜂鳥配達”というサービスを手がけており、2017年4月時点で全国1400の都市・町に、300万人の登録配達員を有しています。日本で出前というと、多くの方が利用したことがあるのは、宅配ピザなど飲食店の従業員が直接配達に来てくれるケースだと思います。
東京などの都市部では、UberEATSなど、プラットフォーム事業者の配達員が商品を配達するケースも徐々に増えていますが、「全国各地の交差点で10分ごとに青いバイクを見ることができる」とアーラマの創業者が言うように、中国ではすでに多くの都市でこれが当たり前になっているのです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」