ソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)は10月23日、都内にて 「AI MEETUP 『AI×キャラクター・ビジネスの展望』」と題したトークセッションを開催。AI(人工知能)を活用したキャラクタービジネスの展望と可能性について語られた。
SMEでは、言語理解研究所との共同事業として、対話型AIサービス「PROJECT Samantha」を展開。このPROJECT Samanthaは、言語理解研究所が開発したNLU(自然言語理解)型の知的駆動型AIエンジン「K-laei」を活用した、コミュニケーションに特化したAI。ユーザーの入力した文章から内包された文意を読み取り、キャラクターの人格に沿った対話をするという、人の心を動かす共感性の高いキャラクターAIを作り出すことを目的としたもの。
この取り組みは、2016年夏に美少女キャラクターから罵倒されるAI「罵倒少女:素子」を期間限定で公開し、第1回アニものづくりアワード」にてオリジナルコンテンツ部門の金賞を受賞。2017年には劇場アニメ「魔法科高校の劣等生」をテーマに、司波達也・深雪姉妹をAI化したプロジェクトも公開された。
今回のトークセッションはこれらの事例紹介のほか、AI分野の第一人者を招き、AIの技術競争の次に来るコンテンツビジネスを探ることを目的として開催された。
第1部では、日本デジタルゲーム学会の理事であり、ゲームAI開発者として著名タイトルに携わっている三宅陽一郎氏が登壇。三宅氏は、AIを活用したキャラクタービジネスについては、キャラクター文化が強く根付いている日本が有利であり、キャラクターとAIの掛け合わせに爆発的な可能性があるという見解を示す。その背景として、西欧と東洋の知能観に違いがあると語る。
西洋の知能観は神様のもとに人間がいて、その下にAIがあるという「垂直的知能感」と説明。AIは人間の役に立てばいいという考え方があり、ゲームを除いて人の形をしたAIはあまりないという。また、AIをテーマとした西洋の映画は、人間とAIの地位が逆転する、AIが人間を支配することを恐れるような内容が多いと付け加えた。
一方、日本を含めた東洋の知能観は「八百万神(やおよろずのかみ)」といった考え方に代表されるような、あらゆるものに生命的な価値(知能)を感じるという「水平的知能感」があると説明する。また「バレンタインになると、キャラクター宛てにチョコやファンレターがゲーム会社などに贈られる」という事例を挙げ、日本人はキャラクターに対しての実在感を強く持っていると説明する。
続けて、西洋では「はじめに言葉ありき」で表現されるように、言葉を話すことができれば知能があると考える文化がある一方で、日本においては言葉だけではなく、キャラクターをつけたがるという潜在的な欲求があるうえ、ユーザーが受け入れる土壌があるという。こうしたことから、人間の姿をしたキャラクターにAIを搭載してしゃべることを日本人は好む文化があるとし、キャラクターをAIの土台として活用し、発展させられる土壌があり、大きなチャンスがある場所との考えを示した。
AIとキャラクターを組み合わせた活用について、三宅氏は“擬人化エージェント”として、さまざまなサービスのインターフェースをして使う案を挙げた。
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