筆者はここ数年、ブリック&モルタル式小売業者の、特にショッピングモール事業の終えんを予測してきた。
特にここ5年間は、消費者が商品を購入する方法が変化してきた。デパートへの打撃が最も大きく、家電ショップなどの他の業態も何年も不調が続いている。
影響を受けているのは主に耐久消費財で、食料品ではない。だが、AmazonによるWhole Foods Marketの買収で、状況は大きく変わりそうだ。
Amazonの強みは、分散型サプライチェーンの運営方法や、顧客ベースから採集したデータに基づく最小在庫管理単位(SKU)の分類と商品のターゲティング方法を熟知している点である。同社の特典プログラム「Amazonプライム」も強力だ。これに匹敵するサービスを提供する競合はない。
Amazonによってつぶされそうな小売事業のカテゴリは多数あるが、最も恐れているのはブリック&モルタルの設備に多額を投資した事業だろう。
つまり、チェーン事業のことだ。そして、チェーン事業大手には飲食サービス業者が含まれる。
ファストフード以外で、すぐにAmazonの標的になりそうなクイックサービス方式レストランの最大チェーンは、Starbucksだと筆者はみている。
理由の一つは、Starbucksには根強いファンが多く、特典プログラムを提供しているからだ。だが主な理由は、まん延しているStarbucksの存在そのものだ。また、両社の顧客ベースの所得レベルは共通しており、競合するのだ。
ここで少しStarbucksのシステムを見てみよう。同社は高級なコーヒー飲料と数種類の食べ物を提供する小売店を経営する。焙煎工場を持ち、世界中から取り寄せたコーヒーを梱包し、チェーンや提携小売店で販売するために出荷する。
Starbucksのビジネスとしての成長可能性は限られている。同社の店鋪は既に飽和状態に達しており、既存の店鋪でこれ以上できることはないと言える。店鋪を増やすことはできるだろうが、既に飽和状態だ。
Amazonが飲食業、特にコーヒー分野に参入しようとしている明確な兆候が既にある。同社は2016年6月に、軽食と飲料分野への参入戦略の一環として、オリジナルコーヒーブランドの「Happy Belly」を立ち上げた。
筆者はHappy Bellyブランドのコーヒー豆を買ったことがあるが、安価なわりに非常に良かった。カナダで焙煎され、顧客に直接出荷される。焙煎後、倉庫に長く放置されることはない。
コーヒーの焙煎レベルは中煎りで、Starbucksのラテ系飲料にある深煎りの強い風味を嫌う向きにとっては、Amazonのコーヒーは爽やかな気分転換になるだろう。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス