不動産投資とクラウドファンディングの相乗効果--ロードスターキャピタルの強み - (page 2)

不動産投資とクラウドファンディングによる数字には見えない相乗効果

――投資家を育てるというよりも、市場自体を育てていくイメージですか。

 そこが鍵ですね。1つの案件が大きくなれば、今後募集する案件の選択肢も増えます。私たちはコーポレートファンディング事業で自己投資も同時並行しているので、マーケットの微妙な上がり下がりの情報は入ってきますし、つねに不動産業界の相場や最先端の動きを把握しながらクラウドファンディングを運営できます。

 確かに10億円のビルを売るのと、クラウドファンディングで売り上げを積み上げるのでは、ビルを売る方が楽に売り上げを作れるように感じますが、ここはある意味つながっていて、クラウドファンディングがあるからこそ、自己投資が非常にやりやすくなる。なぜなら自分たちで資金を調達できる仕組みを持っているからです。自己投資がやりやすくなることで、よい良い案件も見つかる。この相乗効果は数字では見えない部分ですが、非常に大きいと思います。


不動産特化型のクラウドファンディング「OwnersBook(オーナーズブック」

――OwnersBookのシステム周りはすべて自社開発と伺いました。

 会員登録はもちろん、案件の登録から募集完了、償還に至るまで、すべて社内のシステムを使っています。実は、サービス開始前は社外に開発を依頼していたのですが、でき上がったものに全く納得がいかなかったんですね。そこで、自分たちが納得のいくレベルのシステムを作り上げてくれるエンジニアを探し、一から作り直して現在の基礎ができました。

 OwnersBookは2014年の9月にサービスを開始しましたが、立ち上げは同年の5月くらいで、準備期間は3~4カ月という突貫工事でした。そこで、サービス開始後からシステムの改修を始め、現在の形に仕上げました。

――改修はどちらが担当されたんですか。

 当時は社内にエンジニアはおらず、社員の知り合いに優秀なエンジニアがいて、その人に社外で作ったシステムの作り直しをお願いしました。3カ月かかったのですが、非常に満足できるものが完成して、最終的にはその人に社内に合流してもらう形でシステム部門ができました。

 社内で一気通貫できるメリットはいろいろありますが、一番大きいのはリスクコントロールだと思っています。システムに万が一のことがあった場合、それが外注して作ったものであったとしても責任をとるのは外注先ではなく発注元の運営会社です。それだけにどのように作ったシステムであったとしても、私たちは責任をもってそれを管理しなければなりません。

 リスクは、何がリスクか分かっていればそれほど怖いものではありません。本当に怖いのは自分でコントロールできないリスクです。トラブルが発生しても自分でコントロールできるのであれば、それはリスクではなく、どうやって管理するかの問題です。社外に任せることによってリスクをコントロールできなくなることがないよう、当社では社内で全部対応しています。

――エンジニアの方がどれだけ不動産をわかっているのかが、不動産テック領域では重要になってくると思いますが、その辺りの取り組み方は。

 私たちの場合は、コミュニケーションで解決しています。エンジニアの人たちは不動産業の経験がありませんし、逆に不動産事業のメンバーはシステムの設計に詳しくはありません。

 システム周りは、詳しくない人間からするとどうしても複雑に感じて、エンジニアへの丸投げになってしまいがちですが、私たちは、法律の知識や不動産の知識のあるメンバーがエンジニアと日々コミュニケーションをしながら作っています。いま、従業員は35人いて、クラウドファンディング周りの人材は約3分の1を占めていますが、コミュニケーションを密にとることで大きな支障なく運営できています。

 あとは、システムがきちんとしていないと、それだけ自分たちの仕事が増えてしまいますよね。むだな仕事を増やさないためにいいシステムを組む。それがミス防止にも、業務の効率化にもつながります。

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