とはいえ、ほとんどの場合AmazonのAlexaとGoogle Assistantの機能はおおむね同等だ。その理由としては、両者がフェンシングの試合のように機能を競い合っているという背景が大きい。お互いが、新しい技術を繰り出し合いながら、相手の技術に追い付こうとしているのだ。音声による電話発信からテレビの操作まで、新しい機能が次々と両方のプラットフォームに登場している。
そこで、Google Home Miniの最大の弱点が問題となる。ラインアウト端子がなく、手持ちのスピーカ環境に直接は接続できないことだ。この点がAmazonの「Echo Dot」の強みで、Googleにはかなわない、分かりやすいセールスポイントになっている。Googleの名誉のために言っておくと、Google Home Miniは驚くほど強力なスピーカを備えている。だが、特にオーディオマニアでなくとも、やはりもっと大音量がほしくなるだろう。
もうひとつ明白なAlexaの利点が、サードパーティーによる「スキル」の膨大なライブラリで、その数は現時点で2万点を超えている。そのすべてが、Alexaの新しい機能として追加でき、費用もかからない。Googleには今のところ、それに匹敵するものは皆無だ。その上、Alexaには連携できるサードパーティー製デバイスも豊富で、Alexaを製品に直接組み入れようとするメーカーも増えている。Amazonのリードは、いっそう手強く思える。
Google Home Miniにとって残念だったのは、1年以上前、つまりEcho Dotが米国で発売される前であれば、米国市場でEchoキラーになれたかもしれないということだ。現状では、Echo Dotとの大きな差別化を図ることが難しくなっている。申し分なく良い製品で、むしろ秀逸と言っていいが、斬新と言えるほどではない。Googleには、まだやるべきことが残っている。
ユーザーがAlexaよりGoogle Assistantを好むかもしれない妥当な理由はある。Googleによるオンラインサービスのエコシステムに、これまでかなり投資してきた場合は、なおさらだ。スマートスピーカの購入をこれまで控えてきたのなら、49ドルのGoogle Home Miniは、手始めとして最適だろう。この手の小型スピーカとしては、見た目も音も素晴らしく、今後も改善されていくのは間違いない。Google Homeをすでに使っていれば、これだけの低コストでGoogle Assistantの範囲を家のほかの部屋にも拡大できるのは嬉しいはずだ。
Google Home Miniには以上のような長所があるものの、GoogleにとってAlexaの快進撃を止める特効薬ではない。今回はGoogleにとって、AIが作る居住空間という未来のビジョンを強化するチャンスだった。だが実際には、敵であるAmazonに塩を送ってしまったのかもしれない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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