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パナソニックブースからテレビ、白物家電が消えた理由--津賀社長の注目商材とは

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 CEATEC JAPAN 2017が、10月3~6日、千葉・幕張の幕張メッセで開催された。会期初日の10月3日午後、パナソニックの代表取締役社長である津賀一宏氏が、同社ブースを訪問し、取材に応じた。パナソニックブースでは、薄型テレビや白物家電を1台も展示せず、さらに、ブース中央に設置したステージでは、恒例となっていたコンパニオンによる商品の説明はせず、対談形式のセミナーなどを開催。2016年の展示内容からは大きく内容を変更し、BtoBを中心とした切り口としたのが特徴だ。

注目は”面白いセンサ”と“ロボティクス技術の進化”


パナソニックの代表取締役社長である津賀一宏氏。写真は5月開催の決算会見時

――CEATEC JAPAN 2017のパナソニックブースには、家電製品の展示がなく、BtoBが中心でした。またブース中央には「Open Innovation Lab」というステージを設置しています。狙いを教えてください。

 家電かどうかは、定義の仕方次第であると考えています。お客様の暮らしに寄り添ったものを家電とすると、問題は、それをどういうパートナーシップで作るかが大切になる。BtoBのようなパートナーシップで作る家電があってもいいし、サービスという形で機器を売らないビジネスモデルによる新ジャンルがあってもいいと考えていいます。これはいずれも暮らしに密着し、お役立ちをするものであり、パナソニックの姿勢に変化はありません。

 Open Innovation Labは、いかにオープンに手を握りながら、リスクを分散するかという取り組みの1つ。パナソニックは「クロスバリューイノベーション」のスローガンのもと、社内外を問わずに、オープンなバリューチェーンを作ることを中核に据えています。今までのように、パナソニックが正しいと思ったものに、時間と資金を投資するだけではリスクが高い。そして、リスクが高いのはパナソニックだけでなく、周りの事業をしている企業も同様です。こうしたクロスバリューイノベーションができやすい会社を目指しており、それを示した形です。


ブース中央に設けられた「Open Innovation Lab」では対談形式のセミナーなどを開催

――パナソニックブース内では、2種類のカメラと画像処理技術を使い、非接触で人の感情や眠気、温冷感を推定する「感情・体調センシング」技術を展示していました。津賀社長もこの展示に、視察の時間を長く割いていたようですが。

 私自身、研究開発部門の出身であり、技術には高い関心を持っています。技術をどのように使うかで、その技術の良さや未熟さがわかる。ブースでは、どういった処理をしているのかを想像しながら会話していました。それが楽しかった。日常生活やクルマの中での利用に加えて、顧客満足度を推し量るためのBtoB用途にも利用できるのではないかと考えています。この技術は、いかにお客様に負担なく使って頂けるかが重要であり、ここで優劣が決まるでしょう。

「感情・体調センシング」技術
2種類のカメラと画像処理技術を使い、非接触で人の感情や眠気、温冷感を推定する「感情・体調センシング」技術

――CEATEC JAPAN 2017の各社ブースを見ると、AIやIoTの展示が目立ちますがパナソニックの取り組みはいかかでしょう。

 パナソニックは、コンシューマーに近い領域として、介護などの見守りサービスに取り組んでいます。これは、グローバルへの展開も可能な技術だと考えています。また、店舗、物流、製造領域がボーダレスになる中で、ポータルシステムやIoT、センサ技術を活用した現場型のソリューションをBtoBの軸にしていく考えです。それにあわせて、パナソニックは現場に課題を持っている顧客とのやり取りを開始しました。お客様の現場で本当に役立つものは何か。これを、技術者を含めて絶えず考えることを優先しています。

 他社のブースは現時点では見ていないのでわかりませんが、面白いセンサがあるのかどうかに期待しています。また、ロボティクス技術の進化にも注目しています。AIの進化は、展示会ではわかりにくいですが、各社が、技術をどんなところに応用しているのかにも注目したいです。

――最新技術が利益貢献を始めるのはいつごろでしょう。

 R&D部門で仕込んだ技術を商品にし、そこからコストを下げ、大量生産で利益を出していたのがこれまでの仕組みであり、利益を出すまでの期間は長かったです。しかし、BtoBにおける、今の収益確保の仕方は、お客様ひとりひとりとビジネスをすることで、まず利益を生み、投資も同時にできる。これをどう回すかが重要になっています。大量生産のように、一気に大きな利益を生むビジネスモデルではないが、小さな利益を積み重ねながら、これを絶えず投資に回していくことができます。

 こうした今のビジネスのやり方をいかに展開できるかが、利益の構図を描けるかどうかにつながります。自動車関連ビジネスがまさにこの手法です。自動車メーカーから、新たな案件を受注することで開発投資が進み、これにより、利益を生みだしながら、他への展開を開始できる。家電とは異なるビジネスモデルであり、より短い時間で利益を生むことができます。

テスラとの関係は良好、電気自動車、電池それぞれが挑戦

――トヨタ自動車、マツダ、デンソーが組んで、EVの開発会社を作るが、パナソニックのビジネスへの影響は。

 パナソニックへの影響はまだわかりません。トヨタにしても、マツダにしても、さまざまな分野において、パナソニックが広範囲にお役立ちできるように頑張っています。まずは、使ってもらえる技術を持てるように頑張る。これにより、一緒にクルマを設計したり、開発したりといった関係になればありがたいです。

――パナソニックが協業しているテスラモーターズでは「Model 3」の生産が遅れていますが、電池を納入する立場として何が問題だと考えていますか。

 当初の計画通りに納入していないのは確かです。しかし、致命的な問題が起きているわけではなく、これから立ち上がってくるでしょう。テスラは、電気自動車そのものに挑戦し、パナソニックは電池の製造に挑戦している。ともに、新しいチャレンジをしているテスラとの関係は良好です。

――テスラとの協業において、今後、電池の増産や増強予定は。

 これからラインを増やしていく予定です。

――パナソニックは、兵庫県姫路市の液晶パネル工場で、車載用の角型リチウムイオン電池を生産する方針を打ち出しています。

 姫路工場で生産している液晶パネルは、医療向けや産業向けが中心で、赤字からの脱却プロセスが進んでいます。ただ、今回の電池の話と、液晶の話は別で、姫路工場の建物の中に有効活用できていない部分があり、これを何に使うかを検討した結果、電池を生産することに決めました。必要に応じて新たな工場を考えることになりますが、建屋を新しく作ると償却期間が非常に長いという課題もあります。建屋を建てるのはリスクですから、これをなるべく避けるために姫路工場を使うことにしました。


「CEATEC JAPAN 2017」パナソニックブース

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