パナソニックは9月27日、「三次元距離センサ 3D LiDAR」(3D LiDAR)とカメラとサーモカメラで計測した表情や生体情報から人の感情、眠気、温冷感を理解する「感情・体調センシング」の2つのセンサについて、技術説明会を開催した。3D LiDARは自動搬送ロボット、感情・体調センシングはコミュニケーションの円滑化や生産性の向上などに役立つとしている。
3D LiDARは、レーザ光を用いた距離計測センサ。周囲にある障害物までの距離と方向性を正確に測定できることが特徴だ。自動運転車向けのデバイスとして注目されているが、パナソニックが開発したのは自律移動ロボット向けのもの。周囲や路面の状態を把握できること、屋外でも使用できること、などに狙いを定めて開発を進めたという。
足元や路面の状況を把握し、人との協働作業ができることを目的に、水平方向270度、垂直方向60度と、広範囲の三次元距離計測を実現。ミラー1つ、レーザ素子1つに2つのモータを組み合わせた独自の構造を採用し、水平方向にも広い広角スキャンをシンプルな構造で実現している。
この3D LiDARをロボットに搭載すれば、前方に加え、左右方向の障害物を検知できるほか、路面からロボットの高さまでを計測。広範囲に計測する、概略を素早く認識する、一部分に絞って高速に計測するなど、利用シーンに適した計測ができるため、効率的な走行を実現する。
パナソニックでは今後、ロボットと人が協働する工場などセーフティ市場のほか、侵入者を検知するシステムなどのセキュリティ市場に3D LiDARを提案していく方針だ。
感情・体調センシングでは、カメラとサーモカメラを使い、人の感情、体調を推定する技術を披露した。カメラが表情やまばたき、脈拍などを捉え、サーモカメラが皮膚温度や放熱量などを記録し、それらの生体情報をAI処理することで、驚き、眠気、悲しみ、喜びなど、人体の複数の状態を高度に可視化できるという。
カメラとサーモカメラという体に装着しない形で自然にセンシングできることが特徴。複数の生体情報をセンシングし、それらをもとに感情や体調を推定する新規開発の独自アルゴリズムにより、精度不足と個人差を解決した。
パナソニックでは10月からサンプル対応を開始。一般、業務用車両やオフィス、教育機関向けの人、環境モニタリングシステム、眠気予測システムなどの用途を想定しているという。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」