2016年の10月、Googleが新たに統合したハードウェア部門の責任者、Rick Osterloh氏はサンフランシスコのステージに立ち、世界中の消費者に向けて「Googleはもはや検索だけの企業ではない」とプレゼンテーションを行った。
検索だけのGoogleではなく、消費者のポケットや自宅にフィットする物理的な製品、つまりスマートフォン、スマートスピーカ、Wi-Fiルータなどのメーカーだと思ってほしいと同氏は語った。検索エンジンとモバイルソフトウェアで世界中に知られている企業が、Appleやサムスン、そして勢いを増すAmazonのものとされている分野で認めてほしいというのは、強気な売り込みだった。
その1年後となる米国時間10月4日、Googleはさらに大きな賭けに出て、競合のひしめく過酷な家電製品市場への参入に、同社がいかに真剣に取り組んでいるかを示した。この日、Googleは2つの新しいスマートフォン、スマートホームハブ、VRヘッドセットを含む第2世代のハードウェア製品群を披露した。
新しいスマートフォンは、2016年に初めて発表された「Pixel」端末の次世代モデルだ。価格は、「Pixel 2」は649ドルからで、少し大きい「Pixel 2 XL」は849ドルから。Googleは、「Pixel Buds」という新しい無線イヤホンも発表した。イヤホンから「Google Assistant」にアクセスして、音声命令で音楽を再生したり、リアルタイムで音声を翻訳したりすることができる(翻訳機能は「Pixel」スマートフォンと利用した場合のみ)。
その他、VRヘッドセット「Daydream View」の新モデル、ハイブリッド型ノートPCの「Pixelbook」、さらに「Google Home」に加わる新たなスマートホームハブが発表された。高音質で399ドルのハイエンドスピーカ「Home Max」と、価格を抑えた49ドルの「Google Home Mini」だ。さらに、「Google Clips」という単体カメラも発表された。同社の機械学習機能を搭載し、価格は249ドルだ。
Googleの最高経営責任者(CEO)、Sundar Pichai氏は4日のイベントで、「われわれはソフトウェアとハードウェアを同時に開発している。それがコンピューティングを前進させる最善の方法だからだ」と語った。
これまで、Googleの家電製品事業の展開は間欠的だった。同社は、ストリーミング端末「Nexus Q」など、幾つかの失敗作を発売している。2012年発売のNexus Qは、300ドルの黒い球体のような端末で、すぐに販売を終了した。そして、「Google Glass」がある。このインターネットに接続するヘッドセットは不評で、カメラを搭載していることから論争の的になった。1500ドルするGoogle Glassは、一般消費者向けプロジェクトがプロトタイプの段階で2015年に中止された(現在、Glassは企業向けに開発されている)。
Googleは2012年にMotorola Mobilityを125億ドルで買収したが、2年後にはこのスマートフォンメーカーをLenovoに29億ドルで売却した。最近では9月、Googleがハードウェアに再度挑戦していることを最も強く示すかのように、同社はハードウェアメーカーHTCとの大規模な取引を発表した。HTCはそれまでにもGoogleとPixel端末の製造で協力していた。11億ドル規模の合意により、約2000人のHTCの従業員(その多くはPixel開発に従事している)がGoogle入りする。
Jackdaw Researchの主席アナリスト、Jan Dawson氏は「(移籍するHTCの従業員は)長い目で見ればGoogleに完全に統合されるだろうが、信頼関係を築くには時間がかかる」と語った。
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