米国時間9月27日の昼には、米国のAmazon.comのホームページから、気の利いたコーヒーマグやフラミンゴ型の浮き輪、独創的な柄の靴下など、いつも掲載されている商品がほぼ完全に姿を消した。
その代わりに、Amazonはおそらく最も価値があるオンラインショッピングサイトを、「Alexa」対応の6種類の新製品を紹介する電子機器のサイトに変えてしまった。
そう、6種類だ。
Amazonは新「Echo」と、「Echo Plus」「Echo Spot」を発表した。それから、「Echo Connect」と「Echo Buttons」もだ。そしてさらに、Alexaと連携する新型「Fire TV」も発表した。Alexaは、Echoに搭載されている音声アシスタントである。
これらの新デバイスに先立ち、Amazonは2017年に入ってから別の2つのEchoガジェット(「Echo Look」と「Echo Show」)を発表したばかりだ。それに、2016年には「Echo Dot」と「Amazon Tap」も発表している。このほか、LenovoやAnkerなど、他社が開発したAlexa対応スピーカも存在する。
Amazonのスマートスピーカは少し種類が多すぎるのではないか、と感じる人もいるかもしれない。そうした印象を抱いている人は、ほかにもいる。
市場調査会社のOvumでスマートホーム分野のアナリストを務めるFrancesco Radicati氏は9月27日、次のように語った。「私がこのラインアップを見て最初に考えたのは、Amazonに向かって『既に定着しているデバイスのうち、どれを廃止するつもりなのか』と尋ねることだった」
もちろん、Amazonがこれほど多種多様なAlexaデバイスを作るのには、妥当な理由がある。
Amazonは2014年にEchoを生み出したとき、同時にスマートスピーカ市場も作り出した。重要なのは、同社がその新市場を独占する状態になっていたことだ。現在では、あらゆる企業がその市場に参入しているように思える。AppleやGoogle、サムスン、ソニーは、多数存在するライバルたちの中の、最も著名な企業群にすぎない。
Amazonは顧客をつなぎ止めるため、新しい形態のAlexa対応製品を作り続ける必要性を感じているのかもしれない。現在のところ、Amazonは他社に大きな差を付けている。eMarketerによると、米国のスマートスピーカユーザーの10人に7人はAmazonの製品を使っているという。2位はGoogleだが、Amazonに大きく引き離されている。
この戦略は裏目に出る可能性もある。Amazonは非常に多くのモデルを発表しているので、その一部が失敗作になる可能性もある。さらに、どのEchoスピーカがどのような機能を搭載するのかについて、顧客が混乱するおそれもある。
さらに、Amazonのデバイス群が、GoogleやAppleなどのスピーカとではなく、自社製品同士で争い合うことになる可能性もある、とOvumのRadicati氏は話す。例えば、ディスプレイを搭載する129.99ドルのEcho Spotは、Echo Spotとよく似ているが大型の229.99ドルのEcho Showから、売り上げを奪うかもしれない。
Amazonによると、包括的なラインアップとさまざまな価格の製品が存在することで、Alexaをより広範な顧客層に普及させられるのだという。
AmazonのEchoデバイスおよびAlexa担当ディレクターのMiriam Daniel氏は9月27日、「各自のライフスタイルや家庭でのさまざまなニーズに合わせて製品を選んでもらえるように、顧客に選択肢を提供する。音声のみのデバイスでニーズを満たせることもあれば、視覚的な体験が必要なこともある」と述べている。
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