現在の禁煙治療は、ニコチン依存症の判定テストなどにより一定の基準を満たすと健康保険が適用される。禁煙外来患者数は年間25万人にのぼるが、治療開始から1年後の喫煙状況は約7割を超えており、結局大多数が失敗に終わる結果となっている。
キュア・アップの代表取締役社長で、呼吸器内科医の佐竹晃太氏は、「(保険適用分も含めて)6万4000円かけても7割が失敗する原因ははっきりしている。ニコチン依存症に対する心理的な依存に十分介入できていないから。禁断症状に薬は効くが、心理的なケアが現状の短い診察では不十分。ニコチンの依存は、アルコールやいろいろある日本の薬物以上の依存性があるため、家にいるときにこそサポートが必要」と説明する。
禁煙治療アプリは、慶應義塾大学呼吸器内科と共同研究・臨床研究の中で開発された。その中で行われた臨床試験では、現在の標準禁煙治療と標準禁煙治療+CureAppを適用した場合を比較した場合、後者の完全禁煙継続率は治療開始後12週は約29.6%、24週でも約27.1%高かったという。
佐竹氏は、具体的なアプリの内容について説明は避けたが、「(患者が)頼りたいときにいつでも頼れる設計。吸いたくなって危うくなるタイミングで、ソフトウェアからプッシュで話しかけるしくみを取り入れている。煙草を吸いたくなる気持ちをまぎらわすテクニックを教えられる。健康系のアプリやダイエットや睡眠など健康増進のアプリは多くあるが、診療ガイドラインや論文ベースになっていないものがほとんど。CureAppのアプリは医師の思考回路をソフトウェア化したもの」とし、医師が開発した医学的エビデンスに基づいた治療アプリとしての強みを強調した。
今後約1年半かけて500~600人の患者を対象に治療効果を検証する。データをもとに薬事承認を経て、2019年10月をめどに「医師が処方する治療アプリ」としてグローバル展開も視野に進めていく考えだ。
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