AI×リアル店舗で部屋探しに新風を--ハウスコムが考える“地域の豊かな情報”

 朝日インタラクティブは9月26日、2016年に開催した「テクノロジが創世する不動産業の新潮流 〜Real Estate Tech 2016 Summer〜」の第2弾として、「テクノロジが加速させる"新しい街・住まい"づくり」と題したイベントを開催した。

 ハウスコムのセッション「リアル店舗×地域情報×テクノロジ “住んだ先のベネフィット” を提供するサービスへ」では、直営店舗を展開する同社が、AIなどの先進サービスを活用する狙いをハウスコム代表取締役社長の田村穂氏が語った。


ハウスコム代表取締役社長の田村穂氏

リアル店舗約160店を展開--AI&ボット機能にも注力

 ハウスコムは、賃貸物件の仲介を専門とする不動産事業者。関東・東海圏を中心に約160の直営店舗を出店しており、いわゆる「街の不動産屋さん」として知られている。地元密着のリアル店舗を構えつつも、ウェブサイトやアプリを通じたITサービスの提供にも注力している。

 そのプラットフォームとなるのが「mybox(マイボックス)」だ。物件について問い合わせをしたユーザーに対して、それぞれ専用のページを用意。電話ではなく、チャットで店と相談できるようにした。発行ID数は約120万件におよぶという。


「mybox」で提供中の機能

 田村氏は「マイボックスの中でぜひ遊んでいただきたい」と話すように、マイボックス内ではこれまでの物件検索サービスのイメージを払拭するような付加機能の拡充を図っている。

その機能の1つである「AI物件検索」は、「遊び」として楽しんでもらえるよう、場所・家賃・広さの3つを指定するだけで物件候補を次々と提示するようにした。候補の提示は、これまでの顧客傾向データに基づいているという。また、AIチャットボット機能では、物件検索に加えて内見予約も可能。現在はLINEとの連携も果たしている。


AI物件検索機能の概要

 これらのAIやチャット関連の機能は、顧客からの問い合わせの数や、店舗への来店率を向上させる効果があったという。「今のお客様は、いろいろなデバイス、いろいろな時間帯、いろいろな考え方で生活していらっしゃる。マイボックスのような一見『遊び』的なサービスであっても、お客様はそれぞれ考えて使い分けてくれる」と田村氏はコメント。時代の変化に合わせて、サービス内容を多様化させる必要性を指摘した。



AI関連機能の追加により、問い合わせ数や来店者数が向上

不動産会社がなぜAIペットアプリを作ったのか

 物件の大家にも役立つ情報としては「成約賃料データ査定ソリューション」がある。賃貸不動産は新築物件などを除くと、「募集賃料(客に対して最初に提示される賃料)」と「成約賃料(実際の契約賃料)」に差が出るケースが大半。その地域の成約賃料の相場は不動産会社内で把握されているが、おおっぴらにされる例は稀だ。しかし、家主・店子にとっても重要な指標であることは間違いなく、ハウスコムでは一部業者と協力し、この相場情報を開示している。

 このほかにも、4月にはアプリ「AIPET(アイペット)」をリリースした。賃貸仲介とは直接関係のない、仮想ペットとの会話アプリとなっており、開発にあたって社内では論争もあったという。しかし、田村氏は「顧客との長い付き合い」、つまり成約に至らなかったからといってそこで終わりではなく、継続的な関係を気付いていくことが重要だと説明。エンタメ性重視のAIPETを公開した。


不動産会社ではあるが、エンタメ系のアプリ「AIPET」をリリース

 AIPETは、AIチャットボットの語彙力・対応力を高めるための実施試験という側面もある。人間とAIがスムーズにチャットでやりとりするには、膨大な実地会話データが必要なため、これをAIPETのサービスを通じて収集しようという発想だ。

 なお12月にはAIチャットボット機能の改良を計画中。人間側がチャットし始めることなく、AI側が自動で話しかけてくれるようになる予定だ。この際、会話履歴などから嗜好を分析し、関連するオススメ店舗情報などを教えてくれるという。


12月には、AIから話しかけてくれる機能の追加を予定

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