【iPhone 8/Plusレビュー】カメラや処理能力を徹底的に強化した10周年記念モデル - (page 3)

より身近になるビデオ撮影

 iPhone 8、iPhone 8 Plusのカメラのもう一つの魅力は、ビデオだ。iPhone 8シリーズでは高速なセンサに加え、Appleが開発した画像処理エンジンが内蔵されているため、ビデオは4K/60fps、スローモーションはフルHD/240fpsと、iPhone 7シリーズの倍のフレームレートで撮影できるようになった。

 これはiPhone 8シリーズだけでなく、iOS 11を導入できるiPhoneすべてに共通するが、iOS 11では新しい画像フォーマットHEIFと、ビデオコーデックHEVCでの記録に対応した。これらのフォーマットを利用すると、写真やビデオをこれまでの半分のサイズで保存できる。

 新フォーマットなら、4K/60fpsでも1分400Mバイト、フルHD/30fpsの標準画質ならたった1分60Mバイトというサイズでビデオを記録できる。また、4K/24fpsという映画スタイルのフレームレートも用意され、こちらは1分135Mバイトと、依然としてリーズナブルなサイズだ。

 多彩な撮影モードと保存容量の半減は、ビデオ撮影をより身近なものにし、多くの人が4K画質でのビデオ撮影を楽しむようになるだろう。

・飛行機(手ぶれ補正)


・スローモーション


・ARアプリ(Inside Heart)


4Kビデオの書き出しは2分程度--速さを実感できるA11 Bionic

 筆者はiPhone 8のレビュー用に、4K/60fpsのビデオを撮影してiMovieで編集する作業を繰り返していた。内容にもよるが、手元の1分半の4Kビデオの書き出しは2分程度で済んでおり、iPhone 7でフルHDを書き出す時間で4Kビデオを扱うことができるような感覚だった。

 iPhone 8シリーズにはA11 Bionicが搭載されており、4つの効率コアはA10 Fusion比で70%、2つのハイパフォーマンスコアは25%の性能向上をうたっている。

 手元のデバイスでのGeekbench 4のベンチマークでiPhone 7とiPhone 8を比較すると、とくにマルチコアで5357から8643へと大きく向上しており、様々な処理の速度向上に寄与している。

 AppleはiOS 11で拡張現実をサポートするほか、機械学習処理を幅広く活用したアプリの登場を、開発者に大して期待している。iPhone 8シリーズは、そうした新しいモバイルコンピューティングの可能性に対応するための快適なプロセッサを用意した。

 リリース前のARアプリをいくつか試したが、通常よりも多少発熱はあるが、快適に動作するアプリが多かった。カメラ、モーションセンサの動きと、画面の中のグラフィックスが非常に心地よく連動する様子は、それだけでも未来を感じさせる体験となった。

カラバリ、ストレージの変化をどうとらえるか?

 iPhone 8、iPhone 8 Plusで気になる点は、ラインアップのカラーの選択肢が狭まっている点だ。iPhone 7では、最初に登場したブラック、シルバー、ゴールド、ローズゴールドに加え、128Gバイトモデル以上に設定されたジェットブラック、そして2017年3月に追加されたPRODUCT(RED) Special Editionと、最終的には6種類のボディカラーが用意されていた。


シルバーとゴールドのカラーリングの比較。光によって、ゴールドはローズっぽい色味も見せる

 しかしiPhone 8シリーズでは、シルバー、スペースグレイ、ゴールドの3色となっている。特にカラーについては、ローズゴールドが気に入っていた人にとっては選択肢がなくなったかに見える。しかし、前述のようにゴールドモデルはローズゴールドとゴールドの中間のようなカラーリングで、新鮮味もあるため選択肢として検討しやすいのではないだろうか。

 またストレージも、これまでの3種類展開から、64Gバイトと256Gバイトの2種類の展開になり、米国の価格ではこれまでの100ドル刻みから150ドル刻みへと拡大した。32Gバイトモデルはラインアップから姿を消し、128Gバイトというちょうど良いサイズがなくなってしまったが、前述のように、写真やビデオの保存サイズが半減しており、少ない64Gバイトモデルであっても、写真の保存容量には困りにくくなるだろう。

iPhone XとiPhone 8 Plusという選択

ホームボタンがなくなったiPhone X
ホームボタンがなくなったiPhone X

 そして、多くの人が気になっているのがiPhone Xとの比較だ。iPhone Xは背面のデュアルカメラに加え、前面にはFace IDのために搭載した赤外線照射と読み取りの仕組みを備えるTure Depthカメラが備わっている。

 200gを超えるiPhone 8 Plusよりも28g軽い174gで、望遠にも手ぶれ補正が追加されたデュアルカメラを利用できるiPhone Xは、カメラにこだわる点では良い選択肢となるだろう。ただ、処理性能やカメラのセンサなどは共通であり、iPhone Xより価格が安く、ホームボタンがあるこれまで通りの操作感を引き継いでいるiPhone 8シリーズは、引き続き、魅力的な選択肢となる。

 おそらくiPhone XのホームボタンがないデザインやTure Depthカメラは、早ければ次の世代のiPhoneで標準的な機能となることが考えられ、よりコンパクトにセルフィーのポートレートモードが利用できるモデルが登場すると予測できる。

 未来のiPhoneをいち早く、というひとはiPhone Xを選ぶべきだが、新インターフェースへの対応などがより成熟する2018年以降まで待つのも手だ。その点で、iPhone 8シリーズは、現時点で最も洗練された選択肢となる。

顔認証を備えたiPhone X
顔認証を備えたiPhone X
本田雅一さんのレビューはこちらから:iPhone 8/Plusは買い換えか、見送りか--進化に驚くカメラ機能の実力【先行レビュー】

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