住宅、不動産や電機、IT、自動車、食品などさまざまな業種の企業による連合「コネクティッドホーム アライアンス」が、設立記者会見を開催した。アライアンスの主旨や今後の取り組みについて説明したほか、IoTを取り入れた暮らしの体験会を実施した。
コネクティッドホーム アライアンスは、東京急行電鉄、パナソニックグループ、日本マイクロソフト、LIXILらが7月25日に設立。人々の暮らしに密着した、多種多様な業界のリーディングカンパニーが集まることで、生活課題や社会課題をつかみ、業界や企業の垣根を越えた、ライフスタイルの革新に取り組むことを目的としている。
立ち上げ時は30社だったが、9月14日時点で47社が参加を表明。現在全77社 が参加企業に名を連ねる。
東京急行電鉄取締役常務執行役員の市来利之氏は「暮らしのIoTとは、工場のラインなどに取り入れられている産業用のIoTとは異なり、快適かつ豊かな暮らしを目指したもの。すでに米国では普及しており、残念ながら日本は周回遅れの状況。暮らしのIoTにおいてもガラパゴス化してしまっているように思う。個々の企業が独自に活動しているが、これは本当にもったいないこと。各社が競い合うのではなく、メーカーを問わずどんどんつながり、安心して使えるものを提供していきたい。日本を代表する多くの会社が集まって連携することで、世界に誇るべき“ジャパンクオリティ”の暮らしのIoTが実現できると思っている」と設立への思いを話した。
コネクティッドホーム アライアンスでは「宅配・物流」「オープンシステム」「データ活用」などの勉強会を設け、参加企業は少なくとも1つはどこかの勉強会に所属。さらに分科会の活動を進めることで、実証実験や共同開発など、具体的な形に落とし込む方針だ。
デザインディレクターを務める、フロワー・ロボティクス代表の松井龍哉氏は「暮らしのIoT実現のためにできることは、複数の企業の壁をとること。壁のない社会を自由にコネクトするのが理想の姿」とコメントし、ロゴデザインにもその思いを込めたという。
会場には、自宅を模したデモスペースを用意。スマートフォンから玄関の扉を解錠し、それとともに照明がつき、扇風機が回る一連の動作をデモした。東京大学教授の野城智也氏は「玄関の扉や空調はそれぞれ製造しているメーカーが異なり、業種と企業の壁がある。それらをスムーズにつなぐことがアライアンスの目指していること。実現までに必要なのは、トライアンドエラー。試しに使ってみて、そこから改良していく」と実証実験の重要さを訴えた。
スマートフォンを使った解錠や照明のオン、オフは、すでにサービスを提供している企業もある。市来氏は「参加企業は今後も相当増えてくると思っている。IoTサービスを個別に展開している会社との連携も考えており、各社が主張するのではなく、あらゆるものにつながることで、このパイを増やしていきたい。現在の日本はこの好循環に入っていないが、米国では3~4年前にその壁を突破している」と、日本の現状を話した。
体験会では、ベッドルーム、リビング、自宅オフィス、ダイニングと4つの部屋を用意。自宅オフィスでは、スマートフォンに話しかけることで、カーテンが締まり、手元の照明が付き、扇風機が回るといった機器の連携を披露した。
そのほか、コーヒーメーカーが起動したり、アロマディフューザーがつくなど、生活時間に応じたシチュエーションをそろえていた。
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