不動産×クラウドがもたらしたストック型ビジネスの新たな未来

 プロパティデータバンクが不動産業界に持ち込んだのは“クラウド”だ。全国どこからでもデータの入力、確認ができ、一元管理が可能。不動産に関するあらゆる業務支援を「@プロパティ(アットプロパティ)」だけで完結させる。

 元は、大手建設会社清水建設でスタートした社内ベンチャー。パッケージソフトが全盛期だった2000年当時に「ソフトウエアは販売しない」ことに舵を切った理由とはなんだったのか。代表取締役社長の板谷敏正氏に聞いた。


プロパティデータバンクの代表取締役社長である板谷敏正氏

不動産事業に関わるすべての人がいつでもどこでも使えるツールを作る

--ある意味不動産テック企業として一番の老舗ですよね。@プロパティを作った経緯を教えてください。

 @プロパティは不動産管理向けの業務支援ツールで、お客様が入居された後から必要になります。お客様と空き部屋をつなぐことが主な業務になっている不動産会社に比べて、その部屋を使われている間が私たちのツールが活躍する期間になります。お客様と長い期間おつきあいができるツールです。

 元々は清水建設の社内ベンチャーで、現在も株式の39%を清水建設が保有しています。ただ、グループ会社ではあるけれど、新しい分野を自ら切り開いてほしいという考え方なので、経営は完全に別。清水建設自体は、ビル管理会社や不動産会社も持っていますので、その中で不動産のIT部分を担っているのがプロパティデータバンクになります。

--業務支援に注目した理由は。

 建設会社は主に新築物件を建設していますが、一方で世の中にはすでに使われているビルがたくさんあります。建設済みの建物は入居後も、維持、管理からメンテナンス、賃貸管理、コスト管理、原理管理など、やるべきことがたくさんある。こうしたニーズを満たすツールとして作りました。

--@プロパティの発売前は、多岐に渡る項目をどうやって管理していたのでしょう。

 Excelやパッケージソフトで管理していました。@プロパティは、アセットマネジメント、プロパティマネジメント、ファシリティマネジメントと不動産管理に関わるあらゆる会社の業務をフルカバーしていることが特徴です。パッケージソフトは個々の業務用のものはありましたが、1つのツールで完結できるものはありませんでした。

 所有ビルが複数棟になると、ビルの運営に関わる人も多いですし、業種も多岐にわたります。しかしデータが分散されてしまうと、効率が悪いですし、レポートも出しづらい。空室率や平均賃料を出すなどの分析もかなりの労力が必要になります。

 最近は、企業不動産である「CRE(Corporate Real Estate)」機能を拡充しました。不動産を借りて使う、自社で所有する、所有している不動産を人に貸す、ここ数年でこのマーケットが巨大であることがわかってきました。企業のCREに対するスタンスはそれぞれで、投資用として保有する、自社で使う、さらにオフィスビルを管理するなどのセクターがあります。セクターごとに向けて、CRE用のクラウドサービスを展開しています。

 不動産事業に関わるすべての人たちが、いつでもどこでもアクセスができ、一元管理できるツールとして生まれたのが@プロパティです。


業務支援ツール「@プロパティ(アットプロパティ)」

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