前編に続き、サムスンの新型折りたたみ式スマートフォン「Galaxy Z Fold6」のレビュー後編をお届けする。
「Galaxy Z Fold6」は、5000万画素のメインカメラ、1200万画素の超広角カメラ、1000万画素の望遠カメラを搭載する。仕様上は前モデル「Galaxy Z Fold5」から変わっていない。唯一目立つ違いは、サムスンが超広角カメラのセンサーをアップデートして、光量が低い場所でのパフォーマンス向上を図った点だ。筆者が両モデルの超広角カメラを比較テストしたところでも、確かに狙いどおりの効果が出ていると感じた。
カメラ性能は、折りたたみスマートフォンを購入するときに最優先される要素ではないが、Galaxy Z Fold6ほど高価なモデルなら、当然カメラも高性能だと期待される。カメラシステムとしては、「Galaxy S24 Ultra」より一段階低いものの、多くの場面で競合モデルよりディテールの高い、鮮明な色の写真を撮影できる。
サムスンのカメラは、色に関しては秀でていることが多い。Galaxy Z Fold6で撮影した写真の発色は明るく鮮やかで、Googleの「Pixel Fold」およびOnePlusの「OnePlus Open」と比べても、画質は優っている場合がほとんどだった。
一例として、下に挙げたチーズケーキの写真をご覧いただきたい。Galaxy Z Fold6で撮った写真は明るさ、色の強度、ディテールのバランスが妥当で、他の2枚よりパンチが効いている。
状況によっては、Pixel Foldの方がGalaxy Z Fold6より画質で抜きん出ていることもある。具体的にいうと、夜間の撮影と超広角カメラだ。夜のパリで、ある建物を撮った下の写真を見ると、Pixel Foldの方が、Galaxy Z Fold6より明るいことが分かる。
同様に、凱旋門を撮った下の写真でも、凱旋門そのものも、周囲の木々もPixel Foldの超広角の方がディテールが高く、鮮明だ。
内側のカメラはどうかというと、良い点と悪い点がある。悪い点から先にいうと、カメラのセンサーは400万画素と解像度が低いままだ。良い点としては、サムスンの画像処理手法のおかげで、撮影した写真自体はそれほど悪くない。実際、Galaxy Z Fold6の内側カメラで撮った自撮り写真の方が、Pixel Foldの800万画素の内側カメラで撮ったものより筆者の好みだった。
OnePlus Openの自撮り写真は、3つの中で一番のお気に入りになっていたかもしれない。だが、下の写真を見れば分かるように、カメラの位置が画面の右端に寄りすぎていて、撮影対象をフレームに収めるのが難しかった。
総合的にいって、Galaxy Z Fold6のカメラはプレミアムクラスのスマートフォンとして期待どおりであり、折りたたみスマートフォンの中ではベストの部類だ。価格が高いので、期待される水準も以前より上がっているのだが。
Galaxy Z Fold6で大きなテーマとなっているのは、折りたたみスマートフォンと、折りたたみ型ではない標準の「Galaxy S」シリーズとのギャップをサムスンがどれだけ埋めているかということだ。プロセッサーに関してはそのギャップを埋めようとしたようで、Galaxy S24シリーズと同じ、Galaxyスマートフォン向けに開発されたQualcommの「Snapdragon 8 Gen 3」プロセッサーを搭載する。
「Android」については、Galaxy S24シリーズと同様、7世代分のアップデートが保証される。冷却システムの向上を図るために、ベイパーチャンバーも大きくなった。
「ディアブロ イモータル」のように負荷の高いゲームをプレイするときでも、大型画面で複数のアプリを実行するときでも、あるいは動画を撮影したり「ポートレートスタジオ」機能で編集したりするときでも、Galaxy Z Fold6は動作がもたついたり、熱くなったりすることはなかった。ベンチマークテストを実施した際に、一般的な計算処理を測定するとき(「Geekbench 6」)とグラフィックスのパフォーマンスを測定するとき(「3DMark Wild Life Extreme」)の両方で熱をもつことはあった。それでも、以下に示すとおり、Geekbench 6ではPixel FoldとOnePlus Openのどちらよりも大幅に高い成績を記録し、3DMarkでもOnePlus Openと同水準だった。
Galaxy Z Fold6のバッテリー持続時間は、丸1日は確かに持つのだが、実際にどのくらい使えるかは、内側の大型画面を使う頻度と、画面の輝度によって違ってくる。概ね、15時間ほど使うとバッテリー残量は35%あたりから30%台後半くらいになる。明るい太陽光のもとでスナップ写真を撮った日には、14時間ほど使った時点で、30%台前半から20%台後半にまで減っていた。
バッテリー容量と充電速度は、Galaxy Z Fold5のときから変わっていない。この点が、前モデルからバッテリーをアップグレードした「Galaxy Z Flip6」とは異なっている。Galaxy Z Fold6の価格が前モデルから上がったことを考えれば、バッテリーを改善してほしかったと思う。それでも、有線での30分の充電で残量が41%から84%まで増えたので、速さに関してはGalaxy S24 Ultraと同等だった。Galaxy S24 Ultraが45W充電に対応しているのに対して、Galaxy Z Fold6は25Wどまりなのにもかかわらず、である。
Galaxy Z Fold6が素晴らしいハードウェアであることは間違いない。手に取った瞬間から、その軽量なつくりとエレガントな設計に感心させられた。しかも、折り目が以前より目立たなくなっている点がうれしい。
Galaxy Z Foldシリーズの価格を上げたことで、サムスンは折りたたみスマートフォンをメインストリームにする試みは諦めているように感じる。Z Foldシリーズを、顧客が大枚をはたいて購入するプレミアム機種と位置づけていることは明らかであり、手頃な価格設定にするより、その方向性を続けることに満足しているようだ。その高めな価格を考えると、Galaxy Z Foldシリーズならではのソフトウェア機能が増えたり、バッテリーの充電速度と持続時間が改善されたりすることを望みたい。
価格の高さへの驚きを克服できるなら、Galaxy Z Fold6には歓迎すべき点が多々ある。ただ、それを手に入れるために1899.99ドル(日本では税込24万9800円から)を差し出そうとする人がどのくらいいるのか、筆者には見当もつかない。
Galaxy Z Fold6この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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