不動産×クラウドがもたらしたストック型ビジネスの新たな未来 - (page 3)

ビッグデータを活用することで不動産の定説を変えていきたい

--不動産業はどうしても新築物件の建設や入居者獲得に目が向きがちですが、完全にストック側に向いていますね。

 スタンスは完全にストック側です。もう1つの特徴として企業会計に対応できるようにしています。これはツールを作ってからわかったことなんですが、投資家などに対応したファンドや大手企業においては不動産ごとに企業と同じような決算処理をしなくていけないなど、会計処理が非常に複雑で厳格化しています。これらのニーズに気づき、クラウドサービス開始当初よりに対応しました。

 通常の会計ソフトでは、前年をクローズするとデータが引き継げませんし、パフォーマンスに対する情報は会計ソフトに入っていないので、例えば空き室率は出ません。しかし、会計と不動産のパフォーマンスをしっかり連携させておけば、空き室が出たときにすぐに対応できたり、解約予告が入れば、フラグが立つなど、動きがあったときの対応がスムーズです。

 大切なのは、データを年度ごとにクローズすることなく、流れとして常に見られること。ここがストック型ならではのポイントです。

--不動産に関する巨大なビッグデータがたまっていますね。


 そうですね。守秘義務がありますから、あくまでオーダーを受けたときだけになりますが、ニューラルネットなどの計算手法を取り入れて、賃料を上げるには何をしたらいいか、どういう工事をすると効果的かといったデータ解析も始めました。

 店舗であれば、店舗の向きや看板の大きさ、入口の幅など、売上を上げる形をデータから導きだせると思います。マンションなどでも方角や賃料予測なども考えられますよね。

 こうした不動産のデータを見ていけば、建物の耐用年数に対する考え方も変わってくると思います。現在建物の平均寿命は約40年と考えられていますが、実際は65年くらいまで持つことがわかっています。これは残存曲線を描くことでわかるのですが、今は、実際よりも25年くらい短い寿命で建て替えられている計算になります。

 まだ使える建物を壊してしまうのはもったいないですし、建て替えで余計なお金もかかる。そうしたムダを不動産データを解析することでなくしていきたい。これは建物だけではなく、空調機などの設備機器や屋上防水など仕上げ部材にも同じ事がいえます。

--不動産テックをデータ側から見ることでできることはまだたくさんありそうですね。

 はい。データに基づいた解析をしていくことで、建物に対するコスト意識はかなり変わってくると思います。私たちはクラウドにこだわることでストック型の不動産の新たな価値を提案してきました。これはアナログだったものをデジタルに置き換えることで生まれたサービスです。今後の不動産テックは、全く新しいサービス、新しい体験を生み出すような展開ができると面白いですね。

インタビュアー

赤木正幸

リマールエステート 代表取締役社長CEO

森ビルJリートの投資開発部長として不動産売買とIR業務を統括するとともに、地方拠点JリートのIPOに参画。再生エネ業界においては、太陽光パネルメーカーCFOや三菱商事合弁の太陽光発電運用会社の代表取締役社長CEOを歴任。政治学修士、経営学修士、コロンビア大学とニューヨーク大学にて客員研究員。

   

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