父親にも妊娠体験--赤ちゃんの胎動をシェアする「Fiboブレスレット」 - (page 2)

おむつキャンペーンでも同様のコンセプト

 父親にも妊娠体験をさせようというアイデアは、実は同社が初めてではない。米キンバリー=クラークのおむつブランド「Huggies」のキャンペーンでも似たような試みがあった。

 同社は2013年の父の日キャンペーンで、父親にも妊娠体験をプレゼントしようと「妊娠ベルト」なるものを開発。父母両方のお腹に大きなベルトを取りつけ、母親のベルトから発せられた胎動シグナルを父親のベルトに送り、リアルタイムで胎動を感じた父親の反応を宣伝ビデオとして撮影した。


Huggiesの妊娠ベルトで赤ちゃんの胎動を感じて驚く父親(YouTubeより)

 撮影に参加したのは、すべて実際に出産を控えたカップル。ビデオでは赤ちゃんの動きを自分の肌で感じ、驚いたり、喜んだり、感極まって涙を流したりする父親の姿が印象的だ。

 2016年にはスウェーデンのおむつブランド「Libero」でも同様のアイデアが適用された。今度はお腹に着ける大きなベルトではなく、スマート・ブレスレット「BabyBuzz」というコンパクトな形で消費者が実際に利用できるようにした。

 同ブレスレットは出産を控えたカップルが登録する「Liberoクラブ」の会員を対象に貸し出され、父母の双方が装着。母親が胎動を感じた時にブレスレットのボタンを押すと、携帯電話のBluetoothを通じて相手のブレスレットに振動が伝わるというもの。無事に出産した後は、ブレスレットは「Liberoクラブ」に返却され、また別のカップルに貸し出すためにリサイクルされた。


Liberoの「BabyBuzz」。消費者の反応は予想以上(Liberoのウェブサイトより)

 同社のマーケティング・ディレクター、カミラ・スヴェッソン氏によると、同社が北欧で4000人の夫婦を対象に実施した調査では、4分の1の女性が妊娠期間中に孤独を感じたことが分かった。

 ブレスレットはこの問題を解消しようと開発されたものだが、BabyBuzzに対する会員の反応は「期待以上」。父親が胎動を共有することで、両親の親密度は飛躍的に高まったという消費者の声が集まった。「『赤ちゃんから自分のハートに届くSMSだ』と表現したカップルもいました」(スヴェッソン氏)。

 心理学的、医学的見地からの研究で、家族と関わる父親を持つ子どもや母親は、心理的にも社会的にも利点が多く、たとえば産後うつなどの症状を抑えたり、子どもの行動に影響を与えるという説もある。

 テクノロジの進化で、父親の妊娠体験は少しだけ現実に近づいた。父親が母親と胎動を一緒に感じられるガジェットは、出産・育児への父親の関心を高め、和やかな家族生活を助ける強い味方となるだろう。

(編集協力:岡徳之)

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