約1年前、サムスンの「Galxy Note」ブランドは地に落ちた。
異常過熱して発火する危険のある「Galaxy Note7」を2度にわたってリコールした後、サムスンは同製品の生産を終了した。旅行者は、フライトのたびに乗務員が同端末の飛行機への持ち込みは禁じられているという警告を読み上げるのを聞くのに慣れてしまった。
筆者はNoteブランドは決定的に損なわれたと考え、サムスンはこのブランドの使用をやめる(あるいは少なくとも名前を変える)べきではないかと提案した。そう考えたのは筆者だけではなかった。
米国時間8月23日、ニューヨークのPark Avenue Armoryでサムスンのイベントが開催された。サムスンは格納庫のような建物の内装を四角いステージに変え、同社のモバイル部門責任者D.J. Koh氏が1月のインタビューで「悲痛な危機」と呼んだ事件を終わらせようとしていた。
この日、2016年の不運なスマートフォンの正式な後継機種である「Galaxy Note8」が発表された。より重要なのは、サムスン次第でこのイベントは、Galaxy Note7の失敗という異例の物語の最終章になるという点だ。最初にNote7発火の報告があってからリコールの実施、謝罪行脚、そして「Galaxy S8」の発表での復活と、この1年はサムスンにとって超現実的なものだった。
サムスンは、一時期は「爆発するスマートフォン」と同じ意味を持ってしまったブランド名の存続を選んだ。このことは、同社の顧客基盤が持つ忠誠心を証明している。Note7がサムスンにとって大きな問題になっていた間、同社はNoteの熱狂的ファンがこのデバイスに断固として執着するのを強く阻もうとはしなかった。
米サムスンで製品マーケティングおよび戦略担当シニアバイスプレジデントを務めるJustin Denison氏は「顧客のNoteに対する興奮は続いている。彼らは新しいNoteの市場への投入を望んでいる。ブランドの健全性は高い」と語った。
だが、サムスンは23日のイベントで、この問題を隠そうとはしなかった。同社はイベントを、Note7の問題と、それによってユーザーが感じた落胆を認める動画でスタートした。動画ではその後、Noteシリーズへの支持を表明する人々のクリップが続いた。
Koh氏はステージで「われわれは皆、昨年起きたことを忘れない。私は決して忘れないと確信する」と語った。
Kho氏はサムスンの顧客の忠誠心に恐縮したと語り、支持を続けてくれていることへの感謝を込めてステージ上で頭を下げた。
サムスンは2017年の初め、Galaxy S8発売に先立って、より安全な製品を心がけるという方針を大々的に売り込んだ。Note7の異常過熱問題の原因と、以降の製品で適用するバッテリの8つの検証プロセスについて詳細に説明した。
Galaxy Note8では安全確認はさらに強化された。新しいバッテリの検証プロセスを実施したテストラボの一つ、製品検査・認証機関のULもNote8を認証する。サムスンによると、これはスマートフォン製品としては初めてのことという。
あらゆるリスクを避けたいサムスンは、Note8では3300mAhのバッテリを採用した。これは、「Galaxy S8+」の3500mAhのバッテリより容量が小さい。Note7のバッテリも3500mAhだった。
米サムスンの製品マーケティング担当シニアディレクター、Drew Blackard氏によると、Note8のバッテリは、Qualcommの「Snapdragon 835」プロセッサの省電力機能によって、丸1日持続するとされている。このプロセッサはGalaxy S8と同じものだ。
バッテリの周囲には空間を作り、さらに「ガードレール」を追加することで安全性を高めたとBlackard氏は語った。
Noteというブランドを続けることにはちょっとしたメリットもある。Note7の問題は不測の事態だったという表明になる。
GlobalDataのアナリスト、Avi Greengart氏は「ブランドを保つことで、Noteシリーズは大丈夫だとアピールしている」と語った。
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