中国深セン市に本社を構える、世界第3位のスマートフォンメーカーとなるHuawei Technologies(以下ファーウェイ)が、8月下旬に日本の報道関係者に対して同社のハイエンド向けスマートフォンの製造ラインを公開した。ファーウェイのフラッグシップ製品となるP10シリーズを生産するのは、深セン市に隣接する東莞市の工場。
それに合わせて、ファーウェイ製品の品質管理を担当するHuawei Technologies CQO マー・ビン氏が、報道関係者からの質疑応答に応じた。本レポートではその模様と、東莞市の工場についてお伝えしていく。
特定の通信キャリアでの利用に特定しない、SIMロック・フリーのスマートフォン市場が徐々に拡大している。1月に調査会社BCNが発表した調査結果によれば、2016年12月の時点で日本のSIMロック・フリー市場はスマートフォン市場全体の20.4%に達しており、新しいスマートフォンの買い方として徐々に認知度が高まっている。同調査によれば、日本のSIMロック・フリー端末市場でトップシェアは、中国の端末メーカーであるファーウェイだ。
ファーウェイは2月末、スペイン・バルセロナで開催されたMWC(Mobile World Congress)でフラッグシップ製品となるP10シリーズ(P10、P10 Plusなど)を発表した。P10そしてP10 Plusの最大の売りは、同社がドイツのカメラメーカーであるライカと共同で開発しているカメラにある。P10そしてP10 Plusには複眼のレンズが搭載されており、2つのカメラレンズを利用することでまるで一眼レフで撮影したようなボケ感のある写真を撮影したり2倍ズームとして活用したりと複眼レンズの特徴を生かした撮影ができ、特に写真にこだわりを持っているユーザーから人気を集めている。
Huawei Technologies PR部門ディレクター シュウ・シャンユー氏によれば、ファーウェイは1987年、創始者であるレン・ツェンフェイ氏により、現在本社がある中国深セン市に設立された。ファーウェイという言葉は、中国語の社名である”華為”の音読みで特に意味はないそうだが、創始者が”中華の為”にという意味を込めて華為という社名をつけたのだという。つまり、日本人的な感覚でいえば”日産”のようなイメージということだろう。その後90年代〜00年代に通信機器事業で大きな成長を遂げ、日本向けにもNTTドコモやソフトバンクなどに基地局などのインフラを提供したり、Wi-Fiルータなどの通信端末を供給したりするようになり、日本でもその名が知られるようになった。
ファーウェイはユニークな経営体制をとっていることでも知られており、現在は3人のCEOが半年ごとに交代するというユニークなCEO輪番制をとっている。CEOは投資戦略担当のグオ・ピン氏、人的リソース担当のケン・フー氏、そして研究開発担当のエリック・シュウ氏の3人が半年ごとに交代して務める。CEOではない12カ月は仕事をしていないということではなく、それぞれの投資戦略などの事業部を指揮しつつ、CEOとなる6カ月間だけ最終的な決定を行うしくみだ。基本は3人で合議してそれでも決まらないときにその時点のCEOが決断する。
また、ファーウェイがもう1つユニークなのは、株主構成だ。株主の99%は社員で、1%を創始者が持つという構成になっている。利益がでれば、株主である社員の利益になるだけでなく、非上場のプライベートカンパニーであるため、投資なども長期的なスパンで行える。
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