N高では「Google for Education」などのオンラインツールを活用しているほか、先生や生徒間のコミュニケーションにチャットツールのSlackを、プログラミングの授業でソースコード共有サービスの「GitHub」を採用するなど、積極的に最新のインターネットツールを取り入れている。
その理由について奥平氏は、「できるだけ世の中で使われているものを生徒にも提供していく方針。昔は学校といえば、家にないものがある憧れの場所だったが、いまはその逆で、学校の方が古いツールを入れている。新しいものが常にある場所であることが、本来の学校の使命だと思う」と話す。
オンライン教育がどこまで進化しても、生徒たちが教室に集まる従来型の教育には敵わないと思っている人はまだまだ多いだろう。この点に対しては、「じゃあリアルの教室にいたら集中してやるのかというと、そこまで変わらない。むしろ、自分のペースで繰り返し学ぶ方が、絶対に力がつく。そこで重要になるのが学習を継続できるかということ」と指摘。生徒のモチベーションをいかに高められるかがオンライン教育のポイントになると説明し、N高でも学習が遅れている子には担任の先生が電話をかけるなどのフォローをしていると話す。また、将来的にはVRなどの技術によって、自宅にいながら教室での集団授業を疑似体験できる時代がくるかもしれないと予想した。
N高での学生生活を通じて、生徒たちには何を学んでほしいのか。奥平氏は、生徒の中には過去に仲間から疎外されたり、自分の存在を認められなかったりする子も少なくないことから、N高に入学することで、まずは自分の“居場所”を見つけてほしいと話す。その上で、自信をつけて自分の好きなことに挑戦してほしいと思いを語った。
「根拠のないイメージによって、通信制高校と胸を張って言えないところがあるが、私は生徒たちがN高に通っていることを胸を張って言えるようにしたい。まだ、eラーニングで完全に成功しているところはないが、教育システムと教材などのコンテンツを両方もっているカドカワだからこそ、教育を変えられると思っている」(奥平氏)。
2016年4月に入学した高校1年生たちは現在2年生。2019年4月には彼らが大学に進んだり、就職をする。“N高流”の教育を学んだ生徒たちが、どのような形で活躍し、世の中に影響を与えていくのか楽しみだ。
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