ZenFone 4シリーズがすべてデュアルカメラを搭載し、セルフィーモデルも2機種を投入するのは、このようにカメラ機能に注目が集まる今の新興国の消費者の関心を向けさせるための戦略なのだ。バッテリ強化モデルを買ってもカメラはデュアル。これは他社にはない大きな差別化要素になる。
すでにSamsungはフロントカメラ強化のセルフィースマートフォン、Galaxy C Proシリーズを新興国中心に販売している。C Proシリーズはすでに3機種が登場し、ミッドレンジモデルからハイエンドまで複数展開が行われている。セルフィーに特化したモデルであっても、1機種だけでは全てのユーザーニーズをカバーできないというわけだ。Samsungの成功例を見れば、ZenFone 4のセルフィーモデルが2機種あることも十分理解できる。
もちろんZenFone 4とZenFone 4 Pro、そしてSelfieとMaxのProモデルは先進国でも販売されるだろう。だが先進国で今まで以上にシェアを高めるためには、メーカーの顔となるハイスペックなフラッグシップモデルの開発が必要になる。しかしASUSの目指す方向はブランド力アップよりもボリュームを稼ぐ方向であり、同社の顔となる製品はミッド・ハイのZenFone 4だ。AppleやSamsung、Sony Mobileなどとは目指す方向性は異なっており、関心は成長市場に向かっている。
フルモデルチェンジとなったZenFone 4シリーズは、先進国での販売数を今後も維持しつつ、新興国ではOPPO、Vivoへ勝負を挑む特化型製品という、2つの特徴を持った欲張りな製品と言える。3つのラインに標準モデルとProモデル、このわかりやすいラインアップはあらゆる国の消費者にも製品特徴を訴求しやすい。新興国の消費者にとってはOPPO、Vivoと比較できる、カメラスマートフォンとして認知されるだろう。
成長市場への本格的な攻勢をはじめたASUSの取り組みが成功するのか、今年の新興国における年末商戦は面白いものになりそうだ。ZenFone 4シリーズが成功すれば、ASUSの目標である世界シェア10位入りも現実のものになるだろう。
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