自動車メーカーは、人目を引くような最新の機能を次々と考え出している。20歳未満のドライバーが運転するときはラジオの音量を制限するキーフォブ(認証機能付きのキー)や、高速走行時の風による騒音を抑えるために自動的に下がるサンルーフといった機能がある。にもかかわらず、高温になった車内で子どもが死亡する例は後を絶たず、有効な対策はほとんどないに等しい。なぜそうなのかと、筆者もメールでよく尋ねられる。
2016年には、それなりの進展もあった。General Motorsの「Rear Seat Reminder」機能は、2017年モデルの「Acadia」で米国に登場して以来、およそ20のモデルで採用されている。日産自動車の米国法人は、2018年モデルの「Pathfinder」で、「Rear Door Alert」を発表している。
どちらも、後部ドアの開閉をセンサで監視するシステムだ。走行し始める前に後部ドアが開かれたのに停車してから開かれなかった場合には、ランプと警告音でドライバーに通知し、後部座席を確認させる。米国のRichard Blumenthal上院議員(コネティカット州選出、民主党)は、2019年以降に販売される新車について、同様のシステムの搭載を義務付ける法案を提出している。
これらは新機能として評価はできるものの、十分ではない。具体性のないリマインダが繰り返されると、人は無視してしまう性質があり、持ち主が機能を完全に無効にしてしまうこともできる。子どもがおらず、後部座席に荷物を積み込みたい場合には、気にせずそうするだろう。
2014年には、IntelとFordがもっと賢いシステムを考案している。「Mobii」というシステムのプロトタイプで、車内にカメラを配置して、画像認識で被写体を見分けられる。例えば、かばんと子どもを識別し、具体的で効力のある警告を発することができる。このシステムにはほかにもメリットがあるので(盗難防止、居眠りや飲酒の検出、設定のカスタマイズ、インテリジェントな車載カメラなど)、おそらく実用化は確実であり、問題はその時期だけだろう。だが、まだその時ではない。
スタートアップ企業のSense A LifeがKickstarterで開発資金を募っているのは、チャイルドシートに重量センサと発信器を取り付け、運転席に受信機を取り付けるキットだ。運転手が車を離れたとき、チャイルドシートに重量がかかったままかどうかを検出し、ドライバーのスマートフォンに警告を送信する。ドライバーが気付かない場合には、ほかの保護者にメッセージが送信される。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス