ソニー・インタラクティブエンタテインメントジャパンアジアは、国内では10月19日に発売予定のPS4用ソフト「グランツーリスモSPORT」について、開発元のポリフォニー・デジタルのスタジオツアーを開催。あわせてポリフォニー・デジタル代表取締役プレジデントの山内一典氏に、本作にまつわる話を聞いた。
本作は、リアルドライビングシミュレーターとうたう「グランツーリスモ」シリーズの最新作。市販車からレーシングカー、コンセプトカーまで150台以上を収録しているほか、コースは17ロケーション28レイアウトを収録。4Kや60fps、HDR、ワイドカラープロセスに対応するといった最先端のグラフィックテクノロジや高品質の車両モデル、リアルで直感的な自動車挙動シミュレーションなど、車に対するリアリティを追求。ほかにもFIA(国際自動車連盟)との提携により、FIAグランツーリスモチャンピオンシップを開催。一定の条件を満たすと、「FIA グランツーリスモ デジタル ライセンス」が発行されるのも特徴となっている。
スタジオツアーにあたって、山内氏自ら実機を使って本作の概要を改めて説明。スクールモードなどでは、お手本となる解説動画を用意するなど「7歳から77歳まで」をコンセプトに、初心者でもわかりやすく説明したうえで走行が楽しめるような配慮がなされているという。また車を購入する「ブランドセントラル」では、車ブランドの歴史などが楽しめるようになっているほか、光や空間情報を持った背景に車を配置して、流し撮りなど自分好みの写真を撮影できる「スケープス」、車の外観を自分好みにデザインできる「リバリーエディター」なども紹介し、車を走行するだけではない奥深い世界を楽しめるようになっている。
スタジオツアーでは、制作過程などさまざまなエピソードを披露し、本作に対するこだわりをのぞかせた。たとえば車のモデリングについて、1台につきおよそ6カ月かかるという。レーザースキャンで大まかなデータをとり、そこからは1人のアーティストが整えていくという。1台につき資料に使う写真は約5000枚で、それらを見比べながら作業を進める。山内氏によれば、メーターの文字(数字)ひとつとっても1台1台違うため、フォントの流用ができず、きちんと再現しているという。こうしたリアリティのある車のモデルについて「魔法というのはありません」とし、地道な作業と積み重ねで作られていると山内氏は説明した。
そのこだわりは車やコースもさることながら、サーキットを彩るオブジェクトにもおよぶ。例えば樹木は、その地域の植物の植生を調べるのをはじめ、樹木に生えている葉をスキャンして透過率や反射率を計測するなど、植物学の知識や研究を要するほどのこだわりを徹底。鈴鹿サーキットにある観覧車についても、ボルト一本一本まで再現しているという。こうしたこだわりを突き詰めて、グランツーリスモは作られていることを説明した。
スタジオ内には取材機材やかつて資料として活用していたものが並んでいるほか、グランツーリスモシリーズのロゴやイラストなどが壁に貼られているところも。また山内氏の作業スペースも公開。一角には大量のカメラレンズがおかれており、取材用の機材を検討するために自ら購入したものだという。
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