“性善説”にもとづいたビジネスを--質屋アプリ「CASH」が細かく査定しない理由

山川晶之 (編集部)2017年06月28日 19時53分
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 スマートフォンで手持ちのアイテムを撮影するだけで即時現金化できるマイクロファイナンスサービス「CASH」がSNSを中心に話題となっている。

 同アプリは、ガジェットやアパレルなどの商品を写真で撮影するだけで査定額を表示。「キャッシュにする」をタップするだけで、査定額がアプリ内のウォレットに記録される。あとは、コンビニ受取か銀行振込を選ぶだけで現金を入手できる。キャッシュ化した商品は、2カ月以内に送付する必要があるが、期間内であれば手数料15%を上乗せすることで、キャンセルすることも可能だ。

 ただし、同アプリの実態が質屋に近いのにもかかわらず古物営業法をベースにしていること、未成年でも使えてしまう可能性などが指摘されている。いくつか気になった点を、運営会社のバンク代表取締役兼CEOの光本勇介氏に聞いた。


――CASHを提供した背景を教えてください。

 まず、私たちの目標として「世の中の方々の資金需要を瞬時に提供したい」という想いがあります。

 日本では、マイクロファイナンスの市場はまだ存在していません。高額の資金需要については消費者金融サービスもあるのですが、少額の資金需要をカジュアルに満たすものではありませんので、この需要は潜在的に大きいと考えています。こうした、少額の資金需要を即時に提供するサービスを出すことで、マイクロファイナンス市場を私たちの手で作っていけたらと考えています。

――CASHの想定用途ですが、レンディングと買取のどちらが主軸になるのでしょうか。

 CASHに似たサービスがこれまで世の中に出ていないこともあり、正直なところ私たちも想像がつきません。しかし、サービスローンチから半日も経っていない状況ですが、私たちの想定以上にご利用頂いており、すでに相当数の集荷連絡が入っている状態です。

――査定額の上限はあるのでしょうか。

 正直どの程度需要があるのか、額の大小も分からないので、ひとまず2万円で設定しています。ただし、この額を大きく増やそうとは考えていません。あくまでも少額の資金需要に対応するものです。

 フリマアプリを使っているユーザーの中にも、お金を稼ぎたいという需要で取引されている方も多いと思います。こうした市場の定義が無かっただけで、潜在的な需要は大きいと思います。

――今のところ、アパレルやガジェット類など、ラインアップが限定されていると感じますが、対象商品を拡大する予定はあるのでしょうか。

 広げすぎるとさばききれないため、まずは需要の大きいガジェット類とアパレル商材を対象にしていますが、利用状況を見ながら、基本的には二次流通で売買できる商品であれば買取対象に入れる予定です。リクエストも受け付けます。

「世の中の資金需要を瞬時に提供したい」というニーズには古物商が最適

――CASHでは古物商許可を取得していますが、質屋営業許可などは取得していないのでしょうか。

 CASHは、買取アプリという位置づけで提供しています。形態的には質屋に似ているイメージですが、 「キャッシュにする」ボタンを押した瞬間にアイテムを買い取りし、取引のスパンとして2カ月の猶予を持たせています。その2カ月の間にアイテムを送ってもらうのですが、期間内であればキャンセルすることも可能です。

 買取業として展開していますので、質屋営業許可は取得していません。ただし、この業界に詳しい弁護士とチームで取り組んでおり、法律的な面に関して運営に問題が無いかは事前に確認しています。ただし、問い合わせや監督省庁からの指摘があった場合は、ディスカッションを通して、必要に応じて調整することになるかと思います。

 「資金需要を瞬時に提供したい」という目標に向かい、業界、視点、さまざまな法律の中から、満たしたい需要、解決したい問題を照らし合わせたところ、古物商の形態が一番マッチしていました。質屋業は、現在の法律が70年前にできたもので、インターネット時代には合っていないものでした。結果、商品を買い取る形でCASHをリリースしています。

――キャンセル時の手数料が代金の15%とのことですが、その割合にした理由を教えてください。

 買い取りました商品は、二次流通市場で販売しています。これで利益を得ているため、キャンセルは事業の機会損失につながります。そのため、15%の手数料をお願いしています。ただ、この手数料も結果的には利益となりますので、ビジネスの根幹が2つあることになります。

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