配車サービスを展開するUberの次期最高経営責任者(CEO)は困難な課題に直面することになるだろう。
米国時間6月20日にTravis Kalanick氏がCEOを辞任した後、Uberは数々の論争を乗り越えて同社を立て直せるリーダーを必要としている。リーダーとなる人物には、1万2000人の従業員を擁する急成長中の世界規模の企業を率いる力量が求められる。さらには、Uberのしばしば傲慢で有害とされる企業文化を修正するという、ほとんど不可能に近い課題を抱えることになる。
災難を抱えているわりには、Uberの取締役会はシリコンバレーや世界のトップクラスの人材から選り取りみどりのようだ。ただし、取締役として留まるKalanick氏が、次期CEOを妨げなければの話だが。
キャリアサイトLaddersのCEO、Marc Cenedella氏は「Uberには、我慢強く温厚だがKalanick氏と同じように主導的で意欲的、成果重視の人物が必要だ。この異例の仕事をこなせる人は地球上に20人程度しかいないだろう」と語った。
Uberのトップ改革は、およそ700億ドルというスタートアップでは世界最高の企業価値を持つこの企業の今後の方向性に疑問を投げ掛ける。この変革は、サービスの運営方法や乗客への配車方法に影響を与えるだろう。サービスの需要は高いものの、現在のUberのブランドイメージは傷ついている。Twitterを見れば、「#deleteUber(Uberアプリを削除)」というハッシュタグが目につくはずだ。
それでも、人材の専門家は、このブランドイメージが新しいリーダーの採用に影響することはないとみている。Uberは今でも世界で最も人気のある配車サービス企業であり、多くのユーザーが企業内部のごたごたに気を留めるかどうかさえ分からない。CEO候補にとって、同社の長所は十分魅力的だ。
人材支援企業Challenger, Gray & ChristmasのCEO、John Challenger氏は「トップレベルのCEO候補なら、この並外れた企業の問題の数々を解決し、次なる成長のための土台を築く機会を楽しむだろう」と語った。
Kalanick氏の辞任は驚くことではない。Uberのイメージダウンは深刻で、主要な投資家はその責任はKalanick氏にあると見なしていた。The New York Timesによると、Kalanick氏の初期からの支援者で中心的な投資家であるBill Gurley氏が、Kalanick氏を辞任させる動きをリードしたという。
同紙は21日の午後、Gurley氏がUberの取締役を、自身のベンチャー投資会社Benchmarkの同僚と交代すると報じた。
Kalanick氏は先週、数週間前に亡くなった母親を悼むために休職した。同氏はその際「今後われわれが『Uber 2.0』に取り組んでいくのであれば、私も『Travis 2.0』に取り組み、この企業が必要とするリーダーにならなければならない」と語っていた。
The Washington Postによると、Kalanick氏がいずれは休職から復帰すると考えた一部の人々が、同氏を辞任させる正式な要請を必要としたという。同紙は、Kalanick氏は匿名のあるUber取締役に助言を求め、この取締役が同氏に投資家と戦うべき状況ではないと示唆したと報じている。
最終的にはそれがKalanick氏に辞任を決意させたという。だが、この辞任劇は、過去1年に起きた数々のスキャンダルによって既に舞台が整えられていた。その幾つかをみてみよう。
誰もがKalanick氏を責めているわけではない。Virgin Groupの創業者で、自身も何かと注目を集めるリーダーであるRichard Branson氏は、Sprint Corporationとその子会社Virgin Mobileが主催するイベントでKalanick氏を擁護した。
「Kalanick氏は非凡だが、われわれと同じような人間だ」とBranson氏は語り、UberのCEO候補としてある人物を推していると付け加えた。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」