さて、Amazon関連のニュースといえば、ここ10年くらいはテクノロジ分野の話題が目立っていた印象がある。古くは電子書籍リーダー「Kindle」と対応端末、それから「Fire」シリーズのタブレットやテレビ端末、さらに最近のEchoスピーカのようなガジェット類、それらを通じて提供するコンテンツ(「Prime Video」や「Prime Music」など)、Amazon Web Services(AWS)をはじめとするクラウドサービス、それにドローンなどは、すべてこの中に含まれる。また、リテール分野の物流インフラに関するもの、例えば倉庫運営の効率化を視野に入れたロボット開発ベンチャー「Kiva」の買収や、独自の航空貨物便の運航に関する話題なども報じられていた。その一方で、「Amazon Go」(コンビニに相当する無人店舗)や「Amazon Books」(実店舗の書店)といった実験を進めていることも既報の通りだ。
AmazonがWhole Foodsの運営にあたって、そうした様々な要素から使えそうなものはすべて投入してくるとなると、大変ことになるのはほぼ間違いない。例えば、顧客接点をとっても、上記のAlexa/Echoはそのひとつに過ぎず、Prime Videoの画面や、Kindleの待機画面、あるいはPrime Musicの音楽の合間にも、Whole Foodsのその日の特売品情報(広告)が流れる、といった姿は比較的簡単に想像がつく。
また、各家庭や店舗から集まる膨大なデータを処理するためのインフラ(データセンターとソフトウェア)、あるいは商品を顧客に届けるための複数の手段(実店舗から、将来的にはドローンまで)などを保有し、関連するすべての部分を効率よく動かせるという事業者は、おそらくほかにないのではないか。
Amazonは、米国でのWhole Foodsの実験がうまく進めば、いずれ国外でもそこで学んだことを応用しながら事業を展開していくだろう。いたずらに「黒船来襲」といった脅威論を振りかざすのは筆者は嫌いだが、このWhole Foodsの実験だけは要注意事項としてフォローしていくつもりでいる。
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