中古不動産のプラットホームを運営するGA technologiesは、不動産テックの動向と不動産投資アプリ「Renosy(リノシー)」の新機能について説明会を開催した。
GA technologiesは、2013年に設立。中古不動産流通サービス「Renosy」を中心に展開しており、現在リノベーションアプリ「Renosy (リノベ版)」、不動産投資アプリ「Renosy(投資版)」など、不動産アプリを提供している。現在約110名いる従業員のうち、約30%がエンジニア。4月にはAI戦略室を立ち上げ、AIを使った展開にも積極的だ。
「日本の不動産マーケットには、『消費者と業者間の情報の非対称性』『IT化の遅れ』『中古不動産流通の未熟さ』『営業手法や人材の未熟さ』という4つの問題点がある。フィンテックなどに比べ不動産テックが浸透しないのは、不動産のリアルがわかる人材とITがわかる人材の両方がいないと成り立たないから。この4つの問題点をうまく解決していきたい」とGA technologiesの代表取締役社長である樋口龍氏は説明する。
一方、古き良き文化を大切しながら、不動産だけは新築を求める人が多い日本の現状にも触れ「米国は中古が8割、新築が2割の構成だが、日本では新築が8割、中古は2割しか流通していない。今後確実に伸びるのは中古。ここにGA technologiesではターゲットを絞っている。中古住宅の価値を上げることに注力している」とした。
現在、社内的に力を入れているのは人材の獲得。「不動産会社としては珍しいが、紹介、推薦によるリファラル採用を取り入れている。現在採用の50%がこの形」と独自の手法も明らかにした。
GA technologiesが目指すのは不動産テックの分野でトップを取ること。「インフラを変えたいという使命で経営している。不動産マーケットが浸透するようにアプローチしていきたい」と話した。
不動産テックの浸透を着実に図るGA technologiesが次に導入するのは、Renosy(投資版)のAIを活用した「ロボアド診断」だ。年収や家族構成、リスク許容度など、簡単な質問に答えると、ロボアドバイザーがユーザーに適した不動産投資プランをアプリ上で提案する機能。不透明な物件提案への不安を解消することで、風通しの良い不動産投資をサポートする。
あわせて、営業担当者の実績や得意分野などから、ユーザーがコンシェルジュを選べる「コンシェルジュ(営業担当者)の選択機能」、独自の物件データベースからAIとコンシェルジュが選定した新着物件情報を提供する「新着物件のご紹介」、不動産投資の最新情報などを提供する「不動産投資マガジン」などもリリース。不動産投資を始めやすい環境をアプリで提供する。
ただし、AI戦略室ゼネラルマネージャーの橋本武彦氏は「不動産マーケットのデータは課題が多い」と見解を示す。その理由は、高額なため何度も買う経験が得にくい、同じ物件が存在しないなどの理由から、データ量が少ないためだ。また内見や購入時の最終決定など、営業担当者が介在するためデータが残りにくいといった問題もある。
そこでGA technologiesは「無いデータを生成し蓄積することでデータのエコシステムを作り上げる。営業担当者のアクションをログに残す、今までの電話のやり取りをチャットにしてデータとして管理するなどの活用を考えている。このほか、地盤や地震発生、災害時の被害リスク、防犯など周辺環境の情報もデータ化して、リッチ化していくことがポイントになる」(橋本氏)と、独自のデータ化を進める構えだ。
4月に新設したAI戦略室のミッションは、(1)不動産ビジネスにおけるビジネスへの貢献とプレゼンスの向上、(2)次期ビジネスツールのシーズ開発と開発チームへの貢献、(3)人材の育成と啓蒙、3つだ。
「その中でもフォーカスしているのは、データ解析と画像解析。私たちが考えるAIは、人間の仕事を奪うようなものではなく、人間と共存し、ビジネスを活性化するものと考えている」(AI戦略室室長の小林賢一郎氏)とする。
同時に運営するRenosy(リノベ版)も開発を進めており、近くバージョンアップを予定しているとのこと。樋口氏は「両方同じように力を入れて開発を進めている。Renosy(投資版)も今後のバージョンアップで売却までできるような機能も考えており、購入から売却までワンストップで手がけていきたい。不動産投資であれば、このアプリ以外考えられないという世界観を作る」と今後の目標を話した。
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