福岡銀行があえて東京にコワーキングスペースを作った狙い - (page 2)

阿久津良和 山川晶之 (編集部)2017年06月07日 11時30分
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パートナー企業は多種多様、各地銀による地方ネットワークに強み

 Diagonal Run Tokyoは福岡銀行単独の運用ではない。メディア・情報発信パートナーとして西日本新聞社やランドスキップ。施設運営・企画パートナーとしてスマートデザインアソシエーション。施設設計・機能提供パートナーとしてジーエー・タップ、日本アイ・ビー・エム、富士通。地域連携パートナーとして北海道銀行、広島銀行、熊本銀行、親和銀行。施設連携パートナーとしてアクセンチュアと早々たる顔ぶれが並ぶ。「あくまでも現時点のパートナー企業。今後も参画企業を募っていく」(永吉氏)。興味深いのが、スタートアップ支援と同時にDiagonal Run Tokyoを魅力ある場に広げていこうというスタイルだ。

 ふくおかフィナンシャルグループでは、スタートアップ支援の1つとして「X-Tech Innovation」を2015年度から開催しており、2016年度は北海道銀行とも共同開催。パートナー企業として名を連ね、施設内向け風景配信サービス「LandSkip」を設置したランドスキップは、2016年度北海道地区最優秀賞を受賞した。「屋内にいながらも地方の風景を楽しめる。例えば地方の人が集まって、『今日は福岡の形式を見ながら会議しよう』など、東京にいながら地元を近くに感じながらリラックスした商談が可能」(永吉氏)になるため、ランドスキップへはその場で参画をオファーしたという。


WORK ZONEの壁に貼られたディスプレイには「LandSkip」の美しい風景映像が流れる

「COMMUNITY ZONE」の横に設けられたショーケースには、「PS VR」を設置して、バーチャルコンテンツが楽しめる

 もう1つの支援策が、投資専門子会社の「FFGベンチャービジネスパートナーズ」である。2016年4月からFinTechをはじめとしたスタートアップが対象だったが、現在は大学発のスタートアップなど、ユニークなアイディアを持つ事業化支援・育成を全国レベルで手がける。「我々は金融機関だからこそ、(パートナーとなる企業を)紹介できるのが強み。同時に資金面で事業化を支援するなど“ハブ”のような存在を目指す」(永吉氏)。


ミーティングスペースでは参加人数に合わせた会議も可能

 Diagonal Run Tokyoの方向性については、福岡移住計画主催 兼 スマートデザインアソシエーション代表取締役の須賀大介氏が次のように語っている。「地方創生という文脈の元で認知度を高めたい。例えば、地方の食や文化を広げるイベントの開催、地方のスタートアップ支援イベントなどを予定している」という。

 同施設にはコミュニティゾーンとして地元福岡のお酒が並ぶカウンターを用意しているが、「試飲しながら参加者同士で交流できる。他方で酒蔵としては若者に受け入れられるラベルデザインや味を実現するため、入居しているクリエーターとつながりたいという需要も増えている」(須賀氏)と、ビジネスマッチングが生まれつつある状況を説明しながら、この場所を「東京、さらに世界へ進出する足場」になればと展望を語った。


COMMUNITY ZONEの脇に設けたバーカウンター。福岡の地酒が並び、参加者同士のコミュニケーションに利用できる

 さらにスタートアップ育成と東京への一極集中問題については、「福岡もそうだが、“ヒト・モノ・カネ”という文脈で見ると、地方は人が集まりにくい。最近は大手企業も導入する副業システムなど、働き方改革も相まっており、ワークシェアリングのように地方の仕事を手伝う場になれば面白い」(永吉氏)。

 また、多くの場面で地方創生をキーワードに見直しを求める意識が高まりつつある。「街が元気で魅力がないと人は集まらず、実現には強い意志が必要。そこを後押しすれば、地方から日本が元気になる」と語る永吉氏のDiagonal Run Tokyoは、地方スタートアップに限らず、新たなチャンスを模索している多くのビジネスユーザーにとって魅力的な存在になり得そうだ。


クローズドな環境を求める方向けのコワーキングスペース

こちらは2人用のコワーキングスペースを開いた状態。作業に集中できるよう内装はシンプルにした

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