UPDATE Amazonに対する競争力強化を図るWalmartは、出荷コストの削減と配送時間の短縮を目的とした、新しいラストマイル配送プログラムを試行している。
このプログラムは、Walmartの既存の店舗従業員を活用するもので、従業員らは職場からの帰宅途中にオンライン注文を配達することで臨時収入を得ることができる。このパイロットプログラムを指揮するのは、Walmartの米国Eコマースを統括するMarc Lore氏だ。同氏は、2016年にWalmartがJet.comを30億ドルで買収したことに伴って、 Walmartに加わった。
「(従業員は)いつもの帰宅途中に臨時収入を得ることができる」とLore氏は記している。「従業員は店舗でその日の仕事を終えたら、奥の倉庫からパッケージを運び出して自分の自動車に積み、配送先の住所をスマートフォンのGPSにセットして、帰宅の途に就けばよい」(Lore氏)
このプログラムは「顧客、従業員、事業のすべてにメリットがある」とLore氏は述べている。
Walmartは米国に4700店舗を展開し、米国人の90%が同社の店舗から10マイル(約16km)の範囲内に居住している。つまりWalmartは、その物理的拠点を最大限に活用する注文調達戦略を実現する上で、非常に大きな強みを持っている。
またWalmartはこのプログラムで、顧客の需要の重要な部分に革新をもたらし、Amazonの配送オプションに対する競争上の欠点を解消しつつ、従来の店舗従業員の役割を拡大することができる。そのすべてが、小売業界における今日の不透明な状況において大いに理にかなっている。
小売分析企業DynamicActionの最高マーケティング責任者(CMO)を務めるSarah Engel氏は、「従業員の帰宅ルート上にある配達物を特定し、臨時収入を得る手段を従業員に提供できることは、Walmartにとって従業員を維持するための良好な手段であるとともに、同日配送のサービスを実現する可能性をもたらす」と述べた。「同日または翌日配送のための唯一の手段であったとすれば、このモデルにはあらゆる種類の明白な課題があっただろう。しかし、数あるソリューションの1つとしては、非常に興味深い試験だ」(Engel氏)
現時点でこのプログラムは、ニュージャージー州の2店舗とアーカンソー州の1店舗で導入されている。従業員は、自由裁量でドライバーとして参加することができ、Lore氏によると、配達件数、配達物重量の上限、配達可能曜日について、希望を設定できる技術を利用できるという。この技術はまた、従業員が通勤ルートから外れて移動しなければならない総距離を最小限に抑えるように荷物が割り当てられることも目指している。
より広い視野で見ると、このラストマイル配送プログラムは、Lore氏がJet.comで活用していた「バスケットエコノミクス」戦略の延長線上にある。簡単に言うと、バスケットエコノミクスとは、ロジスティクスとサプライチェーンを重視してコストを削減するEコマース運用戦略だ。その狙いは、買い物かごの中の商品を消費者に可能な限り低料金で配送するとともに、そのプロセスを、消費者が買い物をしている時点で透明化する最適な方法を見つけ出すことにある。Jetはこの戦略を基に、デジタルショッピングカート「Smart Cart」を支えるアルゴリズムを構築した。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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