中高一貫の女子校である品川女子学院は、今夏よりジョイズが提供するAI英会話アプリ「テラトーク」を試験導入する。同校では、卒業までにすべての生徒が英検「準1級」に合格することを目標に掲げており、高校生を対象に、テラトークを英語の自習教材として活用するという。導入に先駆け、6月8日に報道陣向けに公開説明会が開かれた。
テラトークは、AI(人工知能)が発音や表現力を診断し、その人にあったレベルで単語ドリル、リスニング、スピーキングなどを学習できる英会話アプリ。「恋人との会話」などの実生活のシーンに沿ったコースから、「ソフトウェア・エンジニア」など職種別のコースまで、88種類(2017年2月現在)のコースを用意している。AIの話すスピードやアクセントを調整できるほか、学習進捗測定やダッシュボードなどの機能を備える。
同日の説明会では、品川女子学院 情報科主任・ICT教育推進委員会委員長の竹内啓悟氏が、同校のICT活用の取り組みを紹介。2014年に高校2年生からiPadの1人1台使用を開始し、現在は高校1~2年生の全生徒に対して導入。2017年からは中等部にも導入を開始しており、2019年には中高全学年で1人1台のiPad使用を実現する予定だという。
また、「Google ドライブ」や「Evernote」「サイボウズLive」「Kahoot!」などのクラウドツールを、積極的に授業や日々の情報共有などに活用している。たとえば、生徒は黒板の写真を撮ってメモを書き込んだり、起業体験としてExcelで商品の収支表を作って複数人で共有・編集したりしているという。また、文化祭の際などには生徒が自ら会議の日時を設定して、iPadやPCで共有するなどしているそうだ。
さらに、教師がオンライン教材を作成して生徒が自由に閲覧できるようにしているほか、ウェブ小テストを作って、ラジオボタンで答案にチェックを入れて送信するだけで即座に点数を把握できるようにしている。このほか、140人が在籍するバトン部では、音源や練習の動画をGoogle ドライブでシェアしたり、練習予定表を生徒と教師で同時編集できるようにしているという。
同校がICT教育に力を入れる目的は大きく2つあると竹内氏は話す。1つ目が「時代に適応すること」、そして2つ目が「成長の幅を広げること」だ。「実は子どもたちの方が遥かに先を生きていたりするので、学校側も遅れずに環境を提供してあげたい」(同氏)。卒業生からは、「iPadやクラウドを当たり前のように使っていたおかげで、大学に入ってからリーダー的なポジションになれた」といったポジティブな声が寄せられているという。
品川女子学院の英語科では、これまでさまざまなツールを活用してきたと同校の英語科主任である小池志穂氏は話す。iPadとEvernoteを使って、週に数回ある小テストをシェアしたり、暗記アプリのQuizletで生徒が自由に単語帳を作れるようにした。さらに、DuoやキクタンBasic 4000などの学習アプリを提供するなどしてきたという。朝の読書時間にiPadを使った洋書の多読なども実施しているとのこと。
その中で、テラトークの導入を決めた理由について、同校の国際交流・グローバル教育部長である遠山裕美子氏は、「発話力の強化」を挙げた。スピーキング力を上げるために、英語科では外部試験として15年以上行っていたTOEICを廃止し、「聞く」「読む」「話す」「書く」という英語の4技能を測定するGTECを採用。また、ネイティブの講師を2人から6人に増やしている。そのほか、セブ島の講師とのマンツーマンのSkype講習なども行ってきた。今後はテラトークによって、生徒たちのさらなる英語力の向上に期待する。
同日の説明会では、同校の中高生がテラトークを体験。当初は少し操作に戸惑う様子なども見られたが、次第に慣れていき、出題される英語の例文などを読み上げていた。体験した生徒は「ちゃんと自分が言ったことに対して、人工知能がコメントを返してくれてすごくリアリティがあった。(精度については)ときどきあまり聞き取れていない時もあったけれど、Siriなどに比べたら精度が高い」と話していた。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス