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働き方改革促進に人事業務のIT投資とツールの積極活用を--テンプHDのHRテック説明会

佐藤和也 (編集部)2017年05月29日 08時00分
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 テンプホールディングス(テンプHD)は5月24日、人事領域に新しいIT技術を活用する「HRテック」に関する説明会を開催した。

 HRテックは、「Human Resource」と「Technology」を掛け合わせた造語。人事領域にビッグデータ解析やAI、クラウドなどの新しいIT技術を活用し、人事業務の効率化や変革をもたらすソリューション。米国をはじめとした海外では、年間25億ドルの投資を集める注目市場とされている。

 日本でも「働き方改革」の促進が叫ばれているなか、パーソルグループのオープンイノベーション推進を目的として設立したベンチャーキャピタル「テンプイノベーションファンド」の代表パートナーを務める加藤丈幸氏が、説明会では国内外におけるHRテック関連のツールやサービスなどの紹介。これらを通じ、日本において人事業務に対するIT投資やツールの積極活用が働き方改革に繋がると主張した。

経営層がツールの存在やできることを認識していないことも大きい

テンプイノベーションファンド 代表パートナーを務める加藤丈幸氏
テンプイノベーションファンド 代表パートナーを務める加藤丈幸氏

 加藤氏は人事事関連業務の課題ならびに、ツールやサービスの導入によってもたらすメリットとして「生産性の向上」「多様な働き方の実現」「ミスマッチの解消」「従業員エンゲージメント強化」の4つを挙げた。

 生産性の向上については、採用や労務管理、人事管理や評価などとといった領域で、専門のクラウドサービスが国内でも続々と登場。例えば入退社に関する手続きは紙のやりとりが主体であったところを電子化したり、リファラル(口コミ)採用を促進するツールなどがあるという。また、一気通貫の統合型サービスとして展開しているところもあるという。

 多様な働き方の実現については、スマートデバイスが普及したことにより、誰もがどこにいてもインターネットに繋がっている状態ができ、クラウドワーカーやオンデマンドワーカーといった、時間や場所の制約を取り払って働くことが可能となっている。ほかにもギグ・エコノミーと呼ばれる、隙間の時間で働くことが促進されるなど、このような働き方を支援するサービスや、多様な働き方に繋がっていくのではと語った。

 ミスマッチの解消については、加藤氏は米国の企業において、人事部門にデータ分析を専門に行うデータサイエンティストを配置することが増えていると語る。

 この背景には、早い段階からタレントマネジメントシステムを導入され、従業員に関するデータの蓄積があること。キャリア情報や企業のクチコミ情報が、ビジネスSNSなどでオープンな状態になっていること。分析や予測技術などが発達したこと。この3点を挙げた。実際に、従業員を採用した際のパフォーマンス予測、店舗における来客の状況にあわせて販売員の最適配置を予測するサービスなども展開されているという。

 国内でも人事部門にデータサイエンティストを配置する企業はあり、テンプHDでも「異動後活躍予測モデル」「退職予測モデル」を開発。従業員の配置などに役立てているという。

 従業員のエンゲージメント強化について、米国において離職率が高いことを背景に、採用よりも離職を食い止めることのほうが優先事項と考えている企業が多いとし、このサービスには高い関心があるという。社内の電話やメールのやり取りを通じて、コミュニケーションの頻度とパフォーマンスを分析するサービスや、社員のコンディションを図るために、チャットツールで交わされた言葉や文章から、自然言語分析によって感情を可視化するようなサービスもあることを説明した。

 加藤氏は国内における働き方改革の普及に向けて「ルール(政策)+ツール(HRテック)で進める」をキーワードとして挙げ、現状では政策として推し進めているなか、民間企業における社員や人事が効率的に動くことができるツールの理解を深め、その両輪で進めていくことを提言した。

 特に米国と日本の両方を見て、人事などの間接部門におけるIT投資がされていない状態が、日本では顕著だと指摘。米国では人事部長が変わりやすく、短い期間での成果を求めて新しいサービスを積極的に導入する風潮があるという。一方で日本では10年前のシステムを使い続けていることも珍しくない。今のままでなんとかなってしまうという風潮をはじめ、新しいサービスそのものや、そしてそれを活用してできることが、会社の経営層が認識していないことも大きいとし「HRテックの用語が出回っていることをきっかけに、経営層などのITリテラシーを上げていかないと働き方改革は進んでいかないのでは」と警鐘を鳴らした。そして、人事関連のIT投資やツールの認識と導入の促進が、日本の働き方改革には重要だとした。

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