カナダのカルガリーにある、ATB Financial銀行のシヌックセンター支店を5月に訪れる顧客は、人間の接客係ではなくロボットに出迎えられて驚くかもしれない。
ATB Financialのチーフトランスフォーメーションオフィサー(CTO)であるWellington Holbrook氏によると、ソフトバンクの「Pepper」の導入により、同社は銀行業の常識から脱却するという。同社はPepperを5月初めからシヌックセンター支店に試験導入している。その後は2つの支店に順次移す予定だ。
Holbrook氏はオーランドで先週開催されたSAPの「SAPPHIRE NOW」で、「銀行は素晴らしい顧客体験を作り出すのが苦手だ。しかし、それはわれわれの努力が不足しているからではない」と述べた。
「銀行家や金融機関で働く人々が一所懸命に働いていないわけではない。彼らは勤勉だ。しかし、われわれは文字通り1000年前のプロセスを構築した。今回、ようやくそれらを現代化し、魅力的なものにした」
Holbrook氏にとって、銀行は本質的に巨大なコンピュータだ。多くの銀行はアプリケーションを中心に据えて、顧客体験を提供している。同氏は、これが標準になっていることに少々当惑している。
「人々が本当に求めているのは、さまざまな種類の顧客体験を享受することだ。金融サービス部門では、われわれは人が最も重要だと考えがちである。誤解しないでほしいのだが、人は本当に重要だ。しかし、人々が求めているのは、関わりを持つことだ。われわれがPepperから学んでいるのは、踊れて気の利いたことを言ってくれる可愛らしい小型ロボットと関わりと持つのが人々は実は大好きだということだ」
Pepperをきっかけとして、未来の金融サービス部門では、顧客が自分の望む方法で取引できるデジタルインターフェースの開発が中心になると、同CTOは考えている。そのインターフェースでは、銀行の専門家たちは呼びかけられるまで姿を見せない。
Holbrook氏は、完全に作り直すべき一枚岩的なプロセスが1つあると考えている。それは銀行口座の開設だ。
「どんな銀行に行っても、大半の銀行で、銀行口座の開設におそらく30分ほどかかるはずだ。オンラインで買い物をするとき、何かを購入するのに30分もかかったら利用者は相当いら立つだろう。しかし、銀行業界では、それが長い間許容されてきた。このようなことはもはや許されない」
今後、このプロセスは数分程度で完了するようにすべきだと同氏は語った。
(情報開示:本記事を執筆したAsha McLean記者は、SAPの招待を受けてSAPPHIRE NOWを取材した)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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