パイオニアは5月12日、2017年3月期通期の連結決算を発表した。売上高はカーエレクトロニクスのOEM事業が減少したことや円高を受け、前年同期比14%減の3867億円、営業利益は売上高の減少により、同42.9%減の42億円の減収減益となった。経常利益は同59.1%減の30億円、当期純損益は同7億円からマイナス51億円の赤字となった。
パイオニアの代表取締役兼社長執行役員の小谷進氏は「第3四半期まではほぼ計画通り推移し、通期計画の達成に向け努力をしたが、第4四半期に入り、売上未達などにより計画に届かなかった。計画との比較では、営業利益はメキシコなどの新興国でカー市販の売上未達による売上総利益の減少や、費用削減未達による原価率の悪化により下回った。当期純損益も、海外での事業構造改革費用が増加したことや、訴訟和解金が増加したことにより悪化し、大幅な損失となった」と現状を説明した。
カーエレクトロニクス部門では、売上高は前年比13%減の3125億円、営業利益は同25億円悪化し61億円となった。カーナビ、カーオーディオともにOEM事業が減少し、売り上げ減に伴う売り上げ総利益の減少が要因としている。
その他部門では、ホームAVや光ディスクドライブ関連製品の減少に加え、円高の影響もあり、売上高は同19%減の742億円、営業利益はマイナス1億円からマイナス8億円と赤字幅が拡大した。
小谷氏は「前期の後半あたりから回復してくるだろうと計画を立てていたが、国ごとにばらつきがあった。ブラジル、ロシアは少し回復してきたが、ASEAN、中近東は回復しておらず、第4四半期に入ってからはメキシコ、インド市場が大きく未達になってしまった。今期はASEAN地域での自動車の販売も好調になっており、前期よりは増加する見通しを立てている」と各国の状況を話した。
自動運転時代を見据え取り組んでいる、走行空間センサ「3D-LiDAR」や独の地図会社HEREとの協業については「開発は順調。自動運転絡みの投資は前倒しでやっていこうと考えている。3D-LiDARについてはワーキングサンプルが秋にも出来上がる予定で、それを自動車メーカーに提供し、検証していく計画で進めている。一方HEREとの協業も順調で、具体的な内容について近いうちに発表できると考えている」(小谷氏)とした。
パイオニアでは、2018年3月期の連結業績予想として、売上高が3900億円、営業利益が100億円、当期純利益が35億円を計画。CATV関連機器事業の譲渡などによる売上減を見込むが、カーエレクトロニクス市販事業の新製品導入効果による売り上げ増を見込むことから前期並みになるとしている。
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