モバイル決済サービス「Square(スクエア)」を提供するSquareは5月9日、米国ですでに提供されていた6つのAPIを日本でも公開した。加盟店はこれらのAPIを利用することで、ECサイトでのSquare決済が可能になるほか、企業がカスタマイズしたPOSシステムと自由に連携させられるようになる。
Squareは、小型端末「Square Reader(スクエアリーダー)」をスマートフォンやタブレットのイヤフォンジャックに挿し込むことで、クレジットカード決済端末として利用できるサービス。無料アプリ「Square POSレジ」をダウンロードすることで、POSレジや売上分析、顧客管理、在庫管理、従業員の勤怠管理など、商売に必要なツールをまとめて利用できる。
従来と同様に、国ごとのユーザー数などは非公開だが、個人事業主や中小企業がユーザーの9割を占めるという。また、外国人観光客のクレジットカード決済のニーズに応えるために高野山真言宗・総本山金剛峯寺に導入されるなど、ユニークな導入事例も増えてきた。直近では、数十台規模の地方の中堅タクシー会社などからも引き合いがあるという。
4月には、PCブラウザからクレジットカード決済を受け付けられる「ブラウザ決済」に対応した。遠方から商品取り寄せの電話注文を受ける事業者や、税理士のような士業、フリーランスのデザイナーなど、業務でPCを頻繁に使う事業者向けの機能となる。さらに夏には、VISA、MasterCard、American Expressに加えて、JCB、Diners Club、Discoverのカードに対応する予定だ。
そして今回、加盟店向けに新たに6つのAPIが公開された。特に多くの要望があったのが、ECサイトのオンライン決済でSquareを利用できる「Eコマース API」だという。すでに実店舗でSquareを利用している加盟店は、管理画面で対面販売とECサイトの売上をまとめて把握できる。同API経由の決済手数料は3.6%。
Squareの代表である水野博商氏によれば、「在庫状況も共有できるため、実店舗とオンラインショップの両方の販売チャネルを持っている事業者が、“ダブルブッキング”をして在庫が足りないという事態を避けられる」という。また、オンライン決済での売上が最短翌日に振り込まれるサービスは、現時点ではSquareのみだと強調した。
このEコマース APIは、グローバルに展開する5つのECプラットフォーム「Weebly(ウィーブリー)」「Ecwid(エクウィッド)」「Wix( ウィックス)」「WooCommerce(ウーコマース)」「Magento(マジェント)」とすでに連携しているという。今後は、日本のショッピングカート事業者やECプラットフォームと連携することで、日本のEC事業者がそれらのプラットフォームでも簡単にSquare決済を利用できる環境を構築するという。
「POS API」は、企業が独自に構築したiOS/Androidで動くタブレットPOSと、Squareのカード決済を連携できるAPI。業種や事業規模によって必要とされる機能が大きく異なる企業のPOS レジと、Square Readerを使ったカード決済をシームレスに連携できるという。今回の公開に先駆け、エスキュービズムの「Orange Operation(オレンジ・オペレーション)」、フォウカスの「poscube(ポス・キューブ)」、ユビレジの「Ubiregi(ユビレジ)」のPOSと連携した。
このほか、取引履歴の情報を連携する「reporting API」、商品登録と在庫管理情報を連携する「items API」、従業員の情報を連携する「employees API」、顧客情報を管理・連携できるAPIの提供も開始した。これらのAPIを利用することで、事業者は実店舗とオンラインストアの、売上、在庫、顧客情報をひとつの管理画面でまとめて確認でき、事業全体の動向を一目で把握できるようになるとしている。
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