アプリ開発やウェブサイトの作成などについて学べる有料のプログラミングスクールも定期的に開催している。昼と夜の部でそれぞれ20名ずつが2カ月間にわたりプログラミングを学ぶ講座で、現在第4期まで開催されている。「まったくプログラムを知らない人から、少しかじっていて途中で挫折した人など、参加者はさまざま。中には登校拒否をしていて、学校から許可をもらい午前中は学校、午後はカフェでプログラムを勉強している中学生もいる」(上里氏)。
実践で使える力を養うために、プログラミングスクールの期間の後半では、東京の企業などから受注した仕事を受講生に任せ、納品までしてもらうOJT形式で人材育成をしており、少しずつ成果も出始めているという。また、グロースハッカーの養成講座も始めており、期間中に4名の受講者の手がけたデザインがメーカーに採用された事例もあるそうだ。「まだまだ小さな成功体験だが、少しずつ積み重ねていきながら人を育てていきたい」(上里氏)。
そのほか、地元の金融機関や沖縄開発金融公庫と提携して、ITに限らず起業・創業したい人を支援する取り組みも進めているという。
沖縄県は飲食店を中心に起業が盛んで、都道府県別の人口あたりの起業率でも上位に入ると上里氏は話す。その分、廃業率も高いそうだが「失敗してもすぐに次の商売に挑戦する風土があるので、スタートアップに向いているのではないか」と同氏は見ている。
また、沖縄市ではスタートアップカフェ以外にも、ITを活用したさまざまなプロジェクトが立ち上がっている。2016年末には、ITやプログラミングが好きな人が集う“ギークハウス”の資金を募るプロジェクトがクラウドファンディングサービス「CAMPFIRE」で展開され、目標金額の3倍を超える約180万円の調達に成功。空き家が多くシャッター街だったコザのアーケードに活気を取り戻しつつある。
さらに、4月18日には沖縄県内の課題をITによって解決するプロジェクト「Cloud ON OKINAWA」が発足した。沖縄市も含めた4市町と、SquareやBASEなどのIT企業9社が手を組み、地元小売店のウェブサイトを作成したり、モバイル決済の導入をサポートしたりすることで、販売促進や販路拡大を支援する大掛かりな取り組みだ。
こうした動きが沖縄県内のさまざまな場所で起きることでIT産業の成長が加速すれば、ゆくゆくは県民所得の向上につながる日がくるかもしれない。「今後は衰退した商店街などを活用して、県内外から面白いことがしたい人が集まるコミュニティを作り、街全体を活性化していきたい。また、沖縄は台湾とも文化的な交流がある。将来的には沖縄からグローバルに向けて情報を発信するなど、さまざまな価値を届けていきたい」(上里氏)。
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