パナソニック、ビジネスイノベーション本部新設--IoTやAIの新規事業を創出 - (page 3)

非常識なチャレンジをすることで限界を超えられる


パナソニック ビジネスイノベーション本部副本部長の馬場渉

 一方で、パナソニック ビジネスイノベーション本部副本部長の馬場渉氏は「日本の企業は、業務改革などの成功事例はあるが、イノベーションによって成長機運に乗った成功事例はない。だがパナソニックは、本格的にイノベーション戦略による成長に舵を切った」と前置きし、「スポーツアスリートは、能力を発揮するためにコンディションを整えるという考え方では成長がないという話をサッカー選手から聞いた。一度限界を越えることで、自分の能力にブレイクスルーが起こり、成長を遂げることができ、これまで以上の力を発揮できるようになる。これと同じで、当たり前のことを当たり前にやっていては進歩がない。できないことに挑戦し、非常識なチャレンジをすることが大切である。そこに私が貢献できる」と発言。

 「パナソニックは、既存事業をどう作り変えるかというイノベーションにスコープを当てている。また先端技術をいち早く、シンプルな形で生活者に提供しようと考えており、その際に、従来のビジネスモデルに乗せると、時間がかかり、複雑になってしまうという課題も知っている。さらに、事業部や製品、戦略の括り方が内部視点ではなく、顧客視点になっている。オールパナソニックで、イノベーションによる成長に取り組む姿勢がある」と語った。

 また、シリコンバレーに常駐する狙いについては、「これまで在籍していたSAPのオフィスはパロアルトにあり、目の前はテスラの本社。近くのマウンテンビューにはグーグルがあり、シリコンバレーは常に自動運転のクルマが走っている環境にある。パナソニックのオフィスは、クパチーノのアップルの新本社の前にある。世界中の優秀なエンジニアが集まり、ビジネスリーダーが活躍している。こうした流れを見ていると、日本の企業の敗北感を感じる。世界に対して、価値を届けることができる日本の企業になる必要がある」と述べ、「シリコンバレーには、ソフト、ネットの企業が多く、クレイジーな経営者が多いという印象があるが、実際には大企業からの脱サラ組が多く、飛行機ビジネスや家電ビジネス、素材ビジネスなどを行っている企業もある。シリコンバレーのやり方の多くは日本の企業にはあわないと考えているが、デザインシンキングとユーザーエクスペリエンスの考え方は合致するだろう。これはシリコンバレーにおける共通言語のようなものであり、これを小学1年生から学んでいる。シリコンバレーの強さはここにある。シリコンバレーの視点を持ちながらビジネスを行うことを、パナソニックのなかに適用できるという点で貢献できる」と語った。

 その一方で「入社前にパナソニックの課題だろうと思っていた点のほとんどはすでに着手されており、明確な成長戦略を持っている点は意外なサプライズだった。だが、外部の視点や、外部を意識することが希薄である。変化が激しい外部を見ることが重要であり、同じ産業のなかに留まらない視点で外部を見ることが必要である。これは、外部の変化が激しく、相対的にキャッチアップが遅かったのではないか」などと指摘した。

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