パナソニックは、高精度かつ小型化を実現する角度センサ「A3MR」を開発。3月29日に技術セミナーを開催した。自動運転やADAS(先進安全運転支援システム)の導入により求められる車載用などへの需要を見込む。
角度センサは、クルマのISG用駆動モータ、シフトバイワイヤ用モータ、電動パワーステアリング用モータなどに取り付け、モータの回転速度や駆動量を管理することで、ステアリング、シフトレバー、エンジンの正確な動きを実現する役割を持つ。従来、レゾルバ方式による角度センサを採用していたが、サイズが大きく、配置の制約もあるため小型、軽量の磁気センサへの置き換えが求められていた。
パナソニックが新たに開発した角度センサは、磁気センサの弱点だった精度をレゾルバ同等まで引き上げたことが特長。これは新たに開発した「ARM薄膜」により実現したもの。ARM薄膜は、磁気の向きがそろいやすいため、磁界の強度の変動が大きい環境下でも磁区の向きが乱れず、高精度に磁界の向きを検出することが可能だ。
今までは、極性(方向)を判別できないため180度までの検出しかできず、360度の角度検出が求められる車載用モータには不向きとされていたが、パナソニックでは、極性判別が可能なホール素子と組み合わせることで、360度の回転角度検出ができる制御回路を開発した。
これにより精度はレゾルバ方式と同等ながら、重量は1000g以下を実現。レゾルバ方式の重量が約2000gのため、半分の重量まで軽量化できたという。
磁界強度が変動しても角度精度は悪化しないため、エンドシャフト、サイドシャフトのどちらに配置しても、対応できるとしている。
新開発の角度センサは、レゾルバの代替として車載用途として使用するほか、ロボットや建機など産業用途にも利用できるとのこと。パナソニックでは、2025年に400億円の売上規模を目指すとしている。
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