Googleは、人々が人工知能(AI)を使ったサービスを利用するほど、そのサービスが改善される新たな方法を導入する。
Googleは、同社のモバイルサービスで「Federated Learning」と呼ばれるアプローチを用いることで、基礎となる機械学習モデルを改良できるかどうかテストしている。
その仕組みはこうだ。まず現時点の機械学習モデルがスマートフォンにダウンロードされ、スマートフォン上のデータから学習することで改良される。ローカルで生じたすべての変更は、要約された小規模なアップデートにまとめられる。このアップデートは暗号化された通信によってGoogleのクラウドに戻されて、他のユーザーのアップデートとともに平均化されることで、共通のモデルが改良される。
スマートフォンに保存された機械学習モデルも継続的に改良されるため、エンドユーザーにとっても恩恵となる。
Googleによると、このアプローチではプライバシーが守られるという。すべてのトレーニングデータはデバイス上に保持され、個々のアップデートはクラウドに保存されないからだ。
Googleでリサーチサイエンティストを務めるBrendan McMahan氏とDaniel Ramage氏はブログ記事で、「Federated Learningによって、よりスマートなモデル、遅延の短縮、電力消費の削減が、すべてプライバシーを確保しながら可能になる」と述べている。
「そして、このアプローチには別の直接的な利点もある。共通のモデルにアップデートを提供できるだけでなく、ユーザーのスマートフォン上で改良されたモデルはそのまま使用でき、スマートフォンの使い方によって体験をパーソナライズできるのだ」(McMahan氏、Ramage氏)
GoogleはFederated Learningのアプローチを、「Android」携帯端末向けキーボード「Gboard」でテストしている。この場合、機械学習モデルはユーザーがクリックしたサジェスト入力または情報を記憶し、そのデータを使用して将来のサジェスチョンを改善する。
ブログ記事では、Federated Learningのアプローチ導入に伴う複雑さについてもいくらか詳しく説明しており、デバイス上のトレーニングでは「TensorFlow」の縮小版を使用していることにも触れている。
Googleは、Federated Learningのアプローチを使用しても、機械学習に関するすべての課題を解決できるわけではないと述べている。解決が難しい課題としては、ラベルが付けられた画像で学習することによって写真の中の犬種を機械に認識させることなどが挙げられる。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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