ニューラルネットワークにより、われわれがこれまで人間特有の性質とみなしてきた能力、つまり「常識」を、人工知能(AI)システムに持たせることが可能になるかもしれない。
人によって備えている常識の程度には差があるかもしれないが、「常識」とは(曖昧な概念ではあるにせよ)、込み入った状況において、明確な情報に頼るのではなく、自分自身の経験と世界観に基づいて公平かつ正当な判断を下す、という概念のことである。AIはこのことに苦戦している。
このような直観は人間らしい概念だが、FacebookのAI研究グループ担当ディレクターのYann LeCun氏によると、ニューラルネットワークとマシンビジョンの飛躍的な進歩により、将来的に常識を備えたソフトウェアが登場する可能性があるという。
マシンビジョンに必要なニューラルネットワークに関して言えば、さらなる「進歩が必要」だ、とLeCun氏はMIT Technology Reviewに語っている。
ニューラルネットワークは、人間の脳の構造を模した人工システムであり、これをより高度なマシンビジョン(タスクや意思決定に使用するためのデータを画像から読み取るシステム)と組み合わせることで、AIシステムに常識を持たせられる、とLeCun氏は述べている。
例えば、画像の大部分を占める物体があり、物体のカテゴリに十分なデータが蓄えられている場合、マシンは犬や植物、自動車といった具体的な物体を認識することができる。しかし、今では、結婚式や夕日、風景といった、より抽象的なカテゴリを認識できるAIシステムも登場している。
わずか5年前でもこのようなことは不可能だったが、マシンにビジョン(視覚)が与えられたことで、マシンが蓄える専門知識が増大している、とLeCun氏は言う。
AIは、まだ人間がAIを訓練する特定の分野に限定されている。AIシステムに結婚式場にいる犬の画像を見せても、そのAIが過去にそうした画像を見たことがあり、画像の背景的情報を理解できるのでなければ、LeCun氏が「ゴミ」と呼ぶような無意味な応答が返ってくる可能性が高い。つまり、AIシステムには常識が欠けていると言える。
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