スマートフォンネイティブが見ている世界

「入学式ぼっち」に追い詰められる10代事情 - (page 2)

インスタでの「ぼっち」は言い訳ハッシュタグ

 一方、Instagramでのぼっちの扱いは少々異なっている。ハッシュタグ「#ぼっち」は8万9000件、クリスマスを1人で過ごす「#クリぼっち」は2万500件投稿されている。2016年のクリスマスシーズンには、1人分のミニクリスマスケーキや小さなクリスマスツリーなど、クリスマスを1人で過ごす人たちのための、クリぼっち商品も多数登場して話題となった。

 元々Instagramは、リア充っぽい写真を投稿する場だ。そこで「#ぼっち」は、以前ご紹介したように周囲に嫌われないために自らオチをつけたり、言い訳をしたりする言い訳ハッシュタグとして使われている。たとえば「#でもぼっち」は、リア充っぽい美味しそうなお洒落ご飯の写真についていることが多い。この場合は、ぼっちはあくまで追加情報であり、実際に公開したいのはリア充写真の方だ。そして、「クリぼっち」のようなあまり公開したくないことは、他人から突っ込まれる前に自分で公開することで「ギリギリセーフ」の状態となるわけだ。

  • #ぼっち

  • #でもぼっち

他人の目を恐れすぎない心を育てたい

 今更自分だけがぼっちなことに気づいた学生が、

「今日誰か昼飯一緒に食べてくれませんか・・・ぼっちはいやだー ◯◯大文Aです。#拡散希望 #DMお願います」

 とネット上でランチを一緒に食べる友だちを募集している例も少なくない。今時10代は、事前に友だちを見繕っておく必要があるのだ。

 すべてをSNSで公開する今時10代にとっては、ぼっちであることは前の学校での人間関係にも影響を与えかねず、恐ろしいことのようだ。しかし、新生活は始まったばかりであり、新しい人間関係はこれから作ればいい。他人の目を恐れすぎず、勇気を持ってリアルの場で話しかけて新しい人間関係を作っていってほしいと思う。

 時折、ぼっちを恐れすぎるあまりに登校できなくなる学生もいる。しかし、実際は自分が考え過ぎなだけであることが多い。そのようなことがないよう、強い心を育てるよう心がけていってほしいと思う。

高橋暁子

ITジャーナリスト。書籍、雑誌、Webメディア等の記事の執筆、企業等のコンサルタント、講演、セミナー等を手がける。SNS等のウェブサービスや、情報リテラシー教育について詳しい。
元小学校教員。
『スマホ×ソーシャルで儲かる会社に変わる本』『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』(共に日本実業出版社)他著書多数。
近著は『ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち』(幻冬舎)。

ブログ:http://akiakatsuki.hatenablog.com/

Twitter:@akiakatsuki

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