卒業式が終わり、春休みを迎える学校が増えている。春休みが終われば、進学・進級・就職など、子どもたちにとって新しい生活が始まる。この時期にも彼らはSNSを駆使しているが、していることは主に2つに分けられる。
1つは、以前当連載でお伝えしたように「高校垢」「大学垢」を作り、新しい学校の友だちとの交流をスタートさせることだ。彼らはもう1つ、現在の友だちとの残りの時間を惜しみ、楽むためにもSNSを活用している。この時期の中高生のSNSの使い方と友だち付き合いへの影響を見ていきたい。
中高生のTwitterアカウントを覗くと、「#卒業」が付いた投稿があふれている。クラス、部活の集合写真がずらりと並ぶ。クラス写真は、卒業証書を持っていたり、「卒業おめでとう」などと書かれた黒板の前で撮影したりした写真が多い。
ツーショットを9~14枚くらいでコラージュした写真も目立つ。自分の3年間を象徴する親しい人たちを集めたということだろう。特にツーショットは、SNOWで加工して、ねずみや犬の顔になっているものが多い。「3年間ありがとう」「みんな大好き」などのメッセージが添えられており、その子たちの3年間が充実して楽しかったことがよく伝わってくる。
その際、重要なポイントは“制服”だ。「華のJKブランド終了でござる」「JK終了~」と書いている子も少なくなく、特に制服からの卒業はとても大きな意味を持つようだ。そこで登場するのが、「制服プリ」だ。記念として、制服姿でプリクラを撮影するのだ。同じ学校の子同士だけでなく、違う高校の友だち同士で集まって撮影した制服プリもある。そのために、日曜など休日にあえて制服姿で集まって遊ぶことも多い。
大人としてはスマホの自撮りや加工アプリで十分なのではと感じてしまうが、彼女たちにとってプリクラはまったくの別物。「盛れるし可愛いから絶対に(SNSのアイコンは)プリクラ」とある女子高生は言っていた。最近のプリクラは、目を大きくしたり美肌にするだけではなく、自分のコンプレックスを解消した写真など、自撮りではできない特別な写真が撮れるのだ。
卒業式前日に「ずっとやりたかった最初で最後の制服プリ」などと、友だち同士、あるいは恋人同士で記念として撮影しているケースが多い。「もう明日で卒業式だから既にコスプレだな」「ツインテールとかもう卒業したらできんわ」「地味だったけどこの制服けっこう好きだった」「もうすぐお別れだけど春休みに遊ぼうな」「19歳だからおばさん。もうすぐ社会人だー」など、“最後”を意識したコメントが多くなる。
もちろん制服プリはInstagramにも投稿されており、春休みにミニーマウスの耳をつけておそろいの制服姿でディズニーランドで遊ぶ、いわゆる「制服ディズニー」をする子も多い。集団でいると目立って可愛いので、卒業旅行先に選ぶのはトレンドとなっている。「#制服プリ」は3万5000件に対して、「#制服ディズニー」は9万3000件も投稿されている。なお、関西圏ではユニバーサル・スタジオ・ジャパンに制服で行く「#制服ユニバ」も流行しているようだ。
女子高生はトレンドを作ると言われており、大人社会から注目を集めているが、彼女たちにとっても“JK”という時代は特別だ。制服はその象徴としての大切なアイテムというわけなのだ。
似たような写真や投稿はLINEのタイムラインにも挙げられている。数こそそれほど多くはないが、小学校の卒業式時期に合わせて小学6年生の写真や友だちへの卒業メッセージも見つかった。ツーショット写真はやはりSNOWでねずみや犬に加工してあり、小学6年生もLINEやSNOWを使いこなしているようだ。
「卒業する時に連絡先が交換できないから」と言って、卒業時に駆け込みでスマホを持つ子もいるようだ。LINEがあるおかげで、卒業後も同窓会が開きやすくなり、進学後も定期的に会っていると聞いている。ある女子高生は、「数カ月に一度のペースで小学校の仲間の集まり、中学校の部活仲間の集まりがある」と言っていた。固定電話しかなかった時代は、卒業と同時に人間関係が切れてしまいがちだったが、SNSのおかげで人間関係が続きやすくなっているようだ。
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